急にマネージャーに抜擢されたけど、何をするのかわからない<沖縄お仕事相談デスク>


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

今回のお悩み

上司より「チームのマネージャーになってほしい」と言われました。

担当する業務も変わるわけではなく、メンバーもそれぞれ自分の仕事を遂行しているので、今までと特に大きく変わらないと感じます。

マネージャーって何をするのでしょうか。

 

今回の回答者は…

組織づくりならお任せ!

Cosmic Consulting代表で組織コンサルタントの

波上こずみさんです。

 

「急にマネージャーに抜擢されたけど何をすれば良いかわからない」というご相談です。マネージャーは一般社員とは違ったことをしなければならないと漠然と分かっていても、実際に何をすれば良いのか戸惑う方も少なくないでしょう。

マネージャーに任命するまでに研修を実施する企業もありますが、多くの中小企業ではそうしたゆとりがなく、マネージャーの成長支援をする機会がないまま、突然昇進させてしまうというケースも多いです。

では、マネージャーの役割とは一体どのようなものでしょうか。

 

(1)チームとして成果を上げるために業務を管理する

マネージャーは組織の目標に向かって、チームを導くことが求められます。

それは指示命令型でメンバーを支配するということではなく、組織の大きな目標を達成するために、チームとしてのビジョンや成果は何なのかについてメンバーとともに定義づけをし、その方向性に向かってメンバーの背中を押してあげるということです。

環境がめまぐるしく変化し、マネージャーもメンバーも業務で忙しいのではないかと思います。そうなると、日々の担当業務にばかり気を取られてしまい、ともするとその業務が完結することがゴールであると思いがちです。

しかしメンバーの業務は全てチームの仕事の要素であり、その全ての要素が組み合わさってチームの成果につながるのです。

自分たちのチームの成果は何なのか、メンバー一人ひとりの業務はなぜ必要なのかを、メンバーと何度も対話をしながら腹落ちしてもらうように促すことが大切です。

また、その目標に向かいながら、今一人一人がどんな状況で、どんなことを抱えているのかを把握することもポイントです。チームとして全体の業務がどこまで進んでいて、どこで滞っているのかを俯瞰的に把握するのです。

このように、組織の目標とメンバーの仕事がつながっているということを意味づけし、チームとして成果をあげるために業務を把握することがマネージャーの重要な役割の一つです。

 

(2)メンバーの能力が最大限発揮できるような環境をつくる

前時代の組織は「男性の正社員」という同質性が高いメンバーでチームが構成されていました。その観点では、ある意味マネジメントがしやすい環境だったと思います。

ところが、今はダイバーシティーの時代です。チームを構成するメンバーは、多様化が進んでいます。性別、世代、子育てや介護中、障害、正社員やパート社員など、さまざまな背景を持ち、あらゆる価値観で溢れ、働き方も多様です。同質性が高いメンバーに比べて、多様なメンバーで構成されている場合、お互いのことを理解しチームワークを強化するには時間もかかり、難しさを感じることも多々あると思います。

しかし、多様なメンバーが自分の強みを発揮し、弱みを補い合いながらチームワークを発揮することが、今の組織には不可欠です。多様性の豊かさが、組織の成長にとって大きな鍵になるのです。

そのためには、多様なメンバーが強みを最大限に発揮できて、かつ、メンバー同士の相乗効果を生み出すために必要な環境をつくることがマネージャーの大事な役割の一つです。

具体的には、一人一人の話を聞きながらメンバーが自分自身に対する理解を深めていき、成長意欲を促し、貢献できていることを実感させることや、チーム内での対話を増やして、「異なる意見」「革新的なアイディア」「多様な発想」などを歓迎しながら創造的な仕事ができるようなチームワークを築いていくということなどです。

 

(3)橋渡しをする

新任マネージャーの場合、そこまで権限を持たされずに、上からの決定事項をチームに伝えて動いてもらうというケースもあるかと思います。

その場合、上からの決定事項をそのままチームメンバーに投げてはいけません。なぜなら、上司と部下は見えている景色が異なるからです。

上からの決定事項というのは大局的な観点で語られている場合が多く、そのままその言葉をメンバーに投げても伝わりにくいからです。組織が意図することが何なのかをしっかりと咀嚼して、メンバーにわかるような言葉で伝える工夫が必要です。

逆も同じです。

現場から上司や組織に対しての声が上がった場合、それを鵜呑みにしてそのまま上司に伝えても響きません。なぜ現場がそう言っているのか、その根拠は何か、改善するとどのようなメリットがあるのかなど、逆に俯瞰した視点で現場の問題を捉えながら、上司に響くような伝え方がポイントになります。

このように、組織・上司とメンバーをつなぐための橋渡しをすることも、マネージャーの重要な役割の一つです。

 

最後に…

今回はマネージャーの主な役割について3つご紹介しました。

今の時代のマネージャーは大変だと言われています。

しかし、マネージャーが全てをコントロールしようとせずに、メンバーの声を聞きながら主体性や創造性を育み、チームの活力を高めていくように促していくと、そのパワーは何倍にも広がっていきます。

チームの可能性を信じて、行動してみてください。

◇執筆者プロフィル

波上こずみ(なみのうえ・こずみ)
株式会社Cosmic Consulting  代表取締役。組織コンサルタント

子育て・介護と仕事との両立に苦しんだ経験を踏まえ、2016年に起業。

「働く人のモチベーションを組織の活力へ!」をテーマに、沖縄の企業や個人を対象としたコンサルティングを手掛けている。
那覇市首里生まれ。1男1女の2児の育児中。

 楽しく働くためのコツ、チームで成果を上げるためのポイントなどを綴ったnote→ https://note.com/cosmic56