市民のラジオ 進化続く 先駆的試みでファン拡大 エフエム那覇開局20年


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開局20周年を迎え、さらなる飛躍を誓う(右から)エフエム那覇の國吉雅司局長、奈良蓮社長、大城成信さん=8日、那覇市牧志の同社

 【那覇】コミュニティーFM局のエフエム那覇(奈良蓮社長)は8日、開局20周年を迎えた。2002年7月8日の「なはの日」に開局し、周波数78・0メガヘルツ。那覇に根を下ろし、市民と一緒に歩んできた。ひーぷー(真栄平仁)さんらラジオスターも輩出した。インターネットで聞ける「ポッドキャスト」にいち早く参画し、全国でファンを獲得。ガラスで隔てないスタジオを設けるなど、先駆的な取り組みもしながら常に進化を続けている。

 02年に市の中心地・国際通りで産声を上げ、07年に城下町の首里池端町に移転。16年に現在の沖映通り沿いに移り、リニューアルオープンした。一時、局名は「タイフーンFM」だったが、「那覇」を冠した「エフエム那覇」に戻した。

 最も長く続く番組はお笑い芸人が出演する「オリジンアワー」。ひーぷーさんも同番組で力を付けた。人気お笑いコンビのこきざみインディアンや、全国進出する前のスリムクラブ真栄田賢さんらも出演していた。

 ポッドキャストが日本で始まった05年、エフエム那覇はすぐに配信を始めた。「ポッドキャスト第一世代」のファンは義理堅く、20周年を祝うため兵庫県や東京都から駆けつけた人もいた。

 16年のリニューアルオープン時、音楽ライブやトークイベントができるスタジオを設けた。出演者と聴取者を隔てるガラスはなく、ライブハウスのように繰り広げられるアイドルライブや落語などが好評を博した。

 一時はコロナ禍でスポンサーが半減したが、再び盛り返し、現在は1日約17本の番組が入るなど活況だ。

 今年から取り組んでいるのはネットの字幕放送。難聴の人でもラジオを楽しめるようにと始めた。防災にも力を入れ、市民に必要とされる存在を目指す。

 3代目社長の奈良氏は「コンセプトは『夢をかなえるラジオ局』。一人一人の目標を支えていきたい」と話した。

 (稲福政俊)