沖縄県立那覇高3年の平良吉志登(よしと)さん(17)らが6月、県立高校に通う生徒を対象に学校の空調稼働状況に関するアンケートを実施した。48校959人の回答者のうち約7割の生徒が、稼働状況に不満を感じている現状が明らかになった。新型コロナウイルス感染予防対策で常時窓を開けて教室の換気を行うため室内が冷えにくく、生徒らはマスクも着用している。コロナ禍に適した学習環境を求める声が上がっている。
アンケートは6月14~19日に実施した。空調の稼働状況への評価を聞く質問では「不満」が39・3%、「非常に不満」が29・5%で、全体の68・8%を占めた。記述式回答では、コロナ禍で空調が稼働しても「換気が必要なため教室が冷えない」「マスクもしながらの授業なので暑さで集中できない」などの意見が寄せられた。
学校側も対応に頭を悩ませる。本島内の県立高校長は「稼働したい気持ちはやまやまだが、予算内でやりくりする必要があり節電も求められる」と板挟みの心境を打ち明ける。同校は年間約1800万円の光熱水費で運営する。授業時間以外に、早朝講座と放課後講座でも使用教室の空調を稼働する。「今後、県が空調のためにどれだけ予算を増やせるかに尽きる」と話した。
各教室で空調の調整ができない難しさもある。別の県立高の校長は「空調は一括管理で、それぞれで温度の上げ下げができない。各教室の要望に応えることは厳しいのが現状だ」と語る。
学校環境衛生基準などに従い、学校の空調は室温が27度を超える場合などに原則、各学校で稼働を判断する。県教育委員会によると稼働は原則、放課後を除く授業時間。職員室などは午前8時半から午後5時まで。
県立高校(全日制)の光熱水費の予算額は、2019年度は約12億4千万円、本年度は約10億7千万円だった。県教委担当者は予算の減少に「過去3年の実績を踏まえ各校の予算を組む。学校で節電の取り組みが進み、決算額は減っていた」と説明した。
(吉田早希)