宮古島市の伊良部島で、港に停泊中の宮古島海上保安部所属「巡視船しもじ」の船首に備えられた20ミリ機関砲を誤射した問題で、同海保は20日、記者会見を開き、誤射の要因は人為的なミスの可能性が高いと明らかにした。併せて、昨日に引き続き職員延べ50人体制で弾頭の捜索にあたったが、発見には至らなかった。
会見冒頭で同海保の福本拓也部長は「前代未聞。どのような言い訳も弁解も通用するものではない」などと陳謝した。海上保安庁では、これまで同種事案の発生はないという。
第11管区海上保安本部などによると、巡視船の乗組員らは19日午前8時半ごろ、洋上射撃訓練のため20ミリ機関砲の点検と弾薬箱に実弾を詰める給弾作業を行った。その際、乗組員は弾薬箱から砲本体に弾を送り出す「ブースターユニット」を連結させた。その後、男性船長(52)の指示の下、機関砲の取り扱い訓練が実施され、発射ボタンを押した際に空撃ち状態が続いた後、ブースターユニットによって砲に送り出された実弾8発を発射した。男性船長は砲本体と弾薬箱が連結されている認識はなく、訓練前にブースターユニットの接続確認などは行われていないという。
誤射の影響で、砲身の先に取り付けられていた直径約12センチの砲口栓という部品が砕け、破片で巡視船から数メートル離れた車のボンネットに穴が開くなどの損壊が確認された。
同海保は19日まで、点検時に誤射があったとの説明にとどめていたが、20日の会見で点検後に訓練を行っていたと公表した。同海保は訓練開始前の現状確認や報告を怠った人為的なミスが要因とみて、引き続き調査を進めるとしている。
また、同海保は緊急の再発防止策として、20ミリ機関砲の洋上射撃訓練などを全面的に中止すると発表した。
発射されない状態と誤解 宮古島海保船の実弾誤射 船長は「空撃ち」を指示