ウミガメ殺傷の漁業者「反省」 落ち込み寝込む 県「イメージダウン懸念」と不快感 久米島町長らが県に報告、陳謝


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県の崎原盛光農林水産部長(手前左)にウミガメ殺傷の件について、説明する桃原秀雄久米島町長(手前右)と久米島漁協の田端裕二組合長(右から2人目)=22日、那覇市の県庁

 【久米島】久米島町真謝の海岸で30匹以上のアオウミガメが瀕死(ひんし)の状態や死骸で見つかった問題で、桃原秀雄町長と久米島漁協の田端裕二組合長は22日、県庁で、県の崎原盛光農林水産部長に一連の経緯について報告した。桃原町長は「殺傷は適切な対応とはいえなかった」陳謝し、「今後は漁業と保護を共存できる方法を模索していきたい」と述べた。
 
 桃原町長は経緯について、久米島漁協に所属する漁業者が魚を捕る網に絡まったウミガメを離す際、暴れる個体がいて、自分(漁業者)の身に危害がおよぶと感じ、弱らせるため殺傷したと説明した。

 今後の再発防止策として、田端組合長はウミガメが自力で逃げられるような網にすることや、網の設置場所を限定することなどを検討していくとした。
 

 崎原部長は「県はこれまで駆除や殺傷を容認する指導は行ってきておらず、今回の件は容認できない。県のイメージダウンにつながるような可能性があることを非常に懸念している」と不快感を示した。その上で、漁と保護の共存を目指して、「町の取り組みに一緒になって支援していく」と話した。
 

 県への報告後、報道陣の囲み取材に応じた田端組合長によると、殺傷した漁業者は「やってしまったことは間違いない。反省している」と話しているという。現在は、落ち込み寝込んでいる状態で、仕事に復帰できていないという。
 

 町と漁協は来週中にも関係機関と共に対策案について協議する委員会を立ち上げる予定だ。

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