【東京】内閣府は22日、2021年度に実施した沖縄での鉄軌道導入に関する調査結果を公表した。無線を利用した列車制御システム「CBTC」や「磁気浮上方式(HSST)」と呼ばれる車両技術を導入するなどコスト縮減を図った結果、導入コストに対する経済効果を示す「費用便益費」(B/C)は0.71だった。物価高や材料費高騰などの影響によるコスト増加を反映し、前年度の0.73から後退し、事業実施の目安となる1に届かなかった。
内閣府の調査は、名護市―うるま市―那覇市―糸満市を結ぶルートを想定した。本年度は新たに(1)「CBTC」の導入(2)車両費の精査(3)物価上昇や土地価格の変動などを踏まえた概算事業費の精査-の3項目。
このうち概算事業費は、世界的な半導体不足、鋼材やコンクリートなどの資材高騰による建設工事費増大などの影響を考慮し、前年度210億円増の6560億円となった。開業後40年間の累積赤字額は同80億円増の3040億円だった。
内閣府は、CBTC導入でコスト縮減効果はみられたが、物価高、材料費高騰の影響が大きく、B/Cが後退する要因になったとの見方を示した。
第5次沖縄振興計画での調査は最後となり、調査費は9350万円を計上。本年度からは新振計での調査を開始する。
(安里洋輔)