国の無形文化財認定 「組踊」12人、「琉球舞踊」32人


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 国の文化審議会(佐藤信会長)は22日、国の重要無形文化財「組踊」保持者として12人、「琉球舞踊」保持者として32人を追加認定するよう末松信介文部科学相に答申した。「組踊」の保持者認定は2019年の12人に続き8回目で、「琉球舞踊」の保持者認定は17年の27人に続き3回目。4人が両分野で入った。

 両分野の保持者として認定予定の箏曲家の野里葉子さんは、沖縄戦で亡くなった、古典芸能を愛する父との思い出を振り返った。「幼いときから沖縄の音楽が体に入っていた。琉球王国時代の考えを受け継ぐ教訓歌など、語り継ぐべき歌詞の継承や、後進の育成に努めたい」と話した。

 同じく両分野の保持者で認定予定の笛奏者の宮城英夫さんは「笛はメインの歌三線を引き立てる伴奏楽器。音楽への理解だけでなく、歌い手の特徴まで考えを至らし、歌に寄り添うことが大切。与えられた舞台を、誠実に一つ一つ務めていく」と表情を引き締めた。

 琉球舞踊家の玉城千枝さんは「昨年は女性の人間国宝が認定され、あらためて琉舞はウチナーンチュの誇りになった。戦後、大きい先生方と一緒に舞台に立ってきた同世代の方たちと、認定されることがうれしい」と声を弾ませた。

 歌三線奏者の宮城武碩さんは、生まれ島の伊是名に公演に来た芝居一座に魅了されて三線を始めた。「民謡を習った登川誠仁先生に、沖縄の音楽をやるなら全ての分野を勉強するよう言われ、古典音楽を習った。抑制された表現の中で、いかに自分の思いが表現できるか、今も試行錯誤の日々だ」と、研さんを誓う。

 組踊立方の親泊久玄さんは「喜びよりも、責任の重さを強く感じた。師の2代目親泊興照と、初代に少しでも報いることができるよう、日々の舞台に思いを込め、大切に立ちたい」と語った。

(藤村謙吾)

 

「組踊」「琉球舞踊」保持者追加認定(敬称略)

 【組踊・立方】
▽金城陽一(63)=豊見城市
▽親泊久玄(嶋袋邦彦)(53)=名護市
▽石川直也(48)=浦添市
▽宇座仁一(46)=那覇市

 【歌三線】
▽池原憲彦(73)=読谷村
▽仲宗根盛次(71)=西原町
▽稲嶺盛律(68)=北中城村
▽島袋功(66)=名護市

 【箏】
▽野里葉子(80)=那覇市

 【太鼓】
▽金城盛松(59)=糸満市

 【笛】
▽宮城英夫(71)=名護市

 【胡弓】
▽祖堅信義(74)=うるま市

 【琉球舞踊・立方】
▽山田多津子(石川多津子)(81)=宜野湾市
▽金城清一(81)=糸満市
▽眞境名結子(玉橋結子)(80)=本部町
▽山城洋子(79)=宜野湾市
▽玉城千枝(玉城千枝子)(75)=浦添市
▽漢那七子(72)=北海道北見市
▽比嘉早苗(71)=那覇市
▽根路銘広美(67)=沖縄市
▽前川美智子(仲宗根美智子)(67)=那覇市
▽嶺井清美(67)=浦添市
▽安座間明美(61)=浦添市
▽皆川律子(60)=豊見城市

 【歌三線】
▽砂辺孝真(75)=浦添市
▽崎濱秀光(74)=読谷村
▽池原憲彦(73)=読谷村
▽仲宗根盛次(71)=西原町
▽宮城武碩(71)=那覇市
▽上原伸浩(71)=宜野湾市
▽比嘉康春(69)=宜野湾市
▽中村昌光(66)=豊見城市
▽照喜名朝國(照喜名朝国)(50)=那覇市
▽花城英樹(49)=那覇市
▽山内昌也(48)=那覇市

 【箏】
▽野里葉子(80)=那覇市
▽比嘉淳江(73)=読谷村
▽宮城秀子(72)=沖縄市
▽屋嘉比桂子(70)=八重瀬町

 【笛】
▽知念久光(73)=うるま市
▽宮城英夫(71)=名護市

 【胡弓】
▽崎原盛勇(74)=沖縄市
▽川平賀道(70)=糸満市

 【太鼓】
▽國場秀治(63)=那覇市


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