沖縄で1週間の救急搬送が最多 「30分以上待機」や「4回以上問い合わせ」も最多 19年以降


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 沖縄県新型コロナウイルス感染症対策本部は23日までに、2022年度の第16週(11~17日)は救急搬送件数が1826人となり、2019年度以降で、最多となったと発表した。

 救急搬送困難事例の指標となる、搬送時の現場待機30分以上は81件(コロナ関連41件、一般救急40件)、医療機関への4回以上の問い合わせは44件(コロナ関連18件、一般救急26件)で、いずれも最多だった。

 医療や救急の体制が厳しさを増す中、那覇圏域の病院で搬送者の受け入れが厳しくなったため、八重瀬町の南部徳洲会病院(服部真己院長)への搬送が増加している。

 県内病院では病床不足が常態化しており南部徳洲会でも6月以降、一般病床使用率はほぼ毎日100%を超えている。コロナの入院患者は21重点医療機関では最多となる50人超だが、服部院長は「搬送受け入れ時に即入院と判断せず、まずは治療や検査を実施し、自宅などに戻った後も対応する体制を取っている」と、救急医療の維持に力を入れる。ただ、他院に比べて医療体制に余裕がある訳ではなく、県対策本部は負担が集中することを懸念している。

 南部徳洲会がまとめたデータによると、本年度は那覇消防や豊見城消防からの搬送が19年度と比べ2~3倍に増加した。その影響もあり、6月の搬送受け入れは計592人と過去最多を更新。救急医療の医師や看護師の協力で体制を強化するとともに、病床の回転率を上げているが、7月の受け入れは12日時点で317人となり、月末には800人を超える厳しい事態が予想されている。

 南部地域の高齢者施設では、南部徳洲会のみを協力医療機関とする施設もあり「対応してくれる病院が命綱のような状態」と語る施設管理者もいる。

 救急だけでなく地域医療を維持するため、服部院長は「想像を超える事態が続くが、救急の維持で重症化を防げる側面がある。南部地域の最後の砦(とりで)という気持ちで、目の前の患者にできる限りのことをやるしかない」と語った。

(嘉陽拓也)

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