7年ぶりに演劇「cocoon」 ひめゆり学徒隊がモチーフの今日マチ子さん作漫画が原作 20、21日なはーと


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「cocoon」(マームとジプシー提供(C)岡本尚文)

 「マームとジプシー」(藤田貴大主宰)が20と21の両日、演劇「cocoon」を那覇文化芸術劇場なはーとで上演する。同作は、ひめゆり学徒隊に着想を得た今日マチ子作の同名漫画が原作。2015年に沖縄で初上演された。7年ぶりの上演に向けた思いを藤田に聞いた。(聞き手・藤村謙吾)

 ―沖縄に関わりを持ち続けているのはなぜか。

 「2012年に初めて沖縄に行って以来、通い続けている。どの題材を扱っていても頭の片隅に沖縄、沖縄戦がある。77年前の戦争や基地問題など、沖縄に住む人たちでしか捉えることのできない沖縄があると思う。どういう感覚で、日本と対峙(たいじ)しているのか。足を運び続ける中で肌感覚で分かった部分もあると思い、沖縄の人たちが考えていることに興味が出始めた」

 ―初期公演は原作にできるだけ忠実に表現されたが、22年度公演は、脚本・演出に大きく手を加えた。

藤田貴大(マームとジプシー提供、井上佐由紀撮影)

 「(22年度公演は)舞台を俯瞰(ふかん)し、一人一人が沖縄戦はどういう戦争だったのかを考えてもらうことを心がけた。ことしはウクライナ侵攻があった。一人一人が舞台の熱量に巻き取られないで、自分の中の戦争と、舞台で表現される戦争をすり合わせてほしい」

 「脚本も、資料をあらためて読み込み史実に基づき、書き直した。沖縄県立第一高等女学校の生徒がどんな経緯で南風原陸軍病院壕(ごう)へ動員されたのかなど、詳細に描くつもりだ」

 ―沖縄上演に向けて意気込みを。

 「中途半端なことはできない。史実であることをはじめ、表現するに当たって向き合ってきたものが、演じられればと思う」

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 20日は午後1時半と午後6時半、21日は午後1時半開演。チケットは一般3500円、25歳以下3千円、高校生以下千円。問い合わせはマームとジプシー(電話)070(5454)7311。