本紙客員編集委員で沖大地域研究所特別研究員の藤原健さんは14日、不屈館のメディア講座で「『南部の土』の意味」と題して講演した。沖縄戦で亡くなったひめゆり学徒のうち、亡くなった場所が分からず「消息不明」とされた学徒が42人いることを説明し、学徒らが眠る「南部の土」が辺野古沖の埋め立てに使われることの理不尽さを強調した。
藤原さんは「消息不明」のひめゆり学徒のうち、内間シマ子さん、友利ハツさん、宮平トヨさん、上江洲美代さんの名前を挙げ、戦後の証言や調査などを基に、一人一人の人柄や最後の目撃情報などを説明した。新垣キヨさん、大舛清子さんらの人柄も紹介したほか、学徒の行動を記録した資料に「こうちゃん」という戦争孤児が登場することも紹介し、一人一人の死について思いを巡らせた。
藤原さんは「第32軍は本土決戦を遅らせるための南部撤退で多くの住民を巻き込んだ。死に対する償いをおざなりにし、忘れ、次の戦争に向かおうとする国家とは何なのか」と訴えた。
(稲福政俊)