【名護】半世紀近くの歴史がある名護市大南のテークアウト店「軽食エイ」が6日、営業を終了した。手頃な価格で味わうことができる重量感のあるカツカレーが名物。閉店日が近づくと店の前に長蛇の列ができ、多くの人がカレーを買い求めた。地域住民からは別れを惜しむ声が上がった。店は閉店の理由について張り紙で「最近の物価高騰により現状での販売提供が困難となった」と説明している。
エイは岸本勝英さん(80)と妻美代子さん(78)ら家族で切り盛りしてきた。以前は別の場所に店があったが、店名や商品はほとんど変わっていない。創業時期について、岸本さんらは「明確にいつからかは覚えていないが、海洋博の時期から営業してたんじゃないか」と語る。
名物のカツカレーは小350円、大450円。プラスチック製の容器いっぱいにライスが盛られ、カツが敷き詰められている。ライスは中央付近にくぼみがあり、ルーが入るよう工夫されている。メニューにはドライカレーやオムライスなどもあった。
4日午後0時半ごろ、店の前には50人以上が並んでいた。近くの学校に勤務する男性(36)は同僚らと2時間待ちしてカツカレーを購入。「思い出の味だ。最後に味わいたい」と名残惜しそう。名護市の女性(35)は「親の代から通っている。価格が手頃で学生時代は本当にお世話になった」と懐かしそうに語る。娘の愛楽さん(14)も「カツが柔らかくて食べやすい」と評する。
勝英さんは「こんなにたくさん来ていただけるなんてありがたい」と目を細める。美代子さんは「多くの人に支えられて長くやってこられた」と感謝の思いを述べた。
(長嶺晃太朗)
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