住民ら「埋め立てへの司法判断を」 新基地建設、踏み込んだ審理訴え 辺野古周辺住民が国を提訴


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
抗告訴訟の提起後、報道陣の質問に答える住民、弁護団ら=23日午前、那覇市楚辺の城岳公園(ジャン松元撮影)

 今こそ埋め立てへの司法判断を―。沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、防衛省沖縄防衛局の設計変更申請を不承認とした県の処分を巡り、辺野古周辺の住民ら20人が23日、新たな訴訟を提起した。原告らは提訴後に報道陣の取材に応じ、裁判所に中身に踏み込んで審理するよう望んだ。

 「今判断せず、いつ判断するのか。司法は原告適格を認めて責任ある判断をしてほしい」。原告団長の東恩納琢磨さん(60)が強調した。これまで住民が起こした訴訟では、原告適格がハードルとなり入り口で退けられた。

 一方、米軍基地が完成すると、司法に被害を訴えたとしても、米軍施設の運用は日本の法の支配が及ばないとした「第三者行為論」で退けられるのが現状だ。金城武政さん(65)も「沖縄全体に関わる問題だ」と強調。「後悔しないためにも、今裁判するしかない」と語った。

 浦島悦子さん(74)は豊かな自然は万人の共有財産で、本来は誰もが原告になれるべきだとし「今の裁判の仕組みでは原告は限られるので、私たち地域住民が代表して原告になっている。裁判に注目してほしい」と呼び掛けた。

 東恩納さんは「中身に入りさえすれば、正しい判断がされると思う」と期待を寄せる。弁護団の川津知大弁護士は「入り口を突破できるよう工夫したい」と語った。

(前森智香子)