厳格な基準を満たした高品質のコーヒー豆だけに与えられる国際審査機関コーヒー品質協会(CQI)認定の「スペシャルティコーヒー」に、名護市の振慶名(ぶりけな)コーヒー園と久米島のしらせコーヒー園で栽培する豆がそれぞれ選ばれた。国内では2016年認定の安田珈琲=国頭村=に続く認定。生産者らは「県産コーヒーのブランド化を目指し、沖縄の新たな産業資源にしたい」と意気込む。
世界の主なコーヒー産地は赤道中心に広がるコーヒーベルトと呼ばれるエリアで、沖縄はその北限に位置している。しかし沖縄は、温暖な気候という条件は満たしているものの、標高の低さや台風などの自然災害がネックとなるため、各生産者は創意工夫しながら高品質かつ個性豊かな豆の栽培に手を尽くしている。
今回の審査は台湾で行われた。基準は「アロマ」「後味の印象度」「口に含んだ質感」などに分類され、審査員の評価も含めた合計点数が100点中80点以上となれば「スペシャルティグレード」に認定される。
オーガニックのJAS認定も受けている振慶名コーヒー園は、農薬や化学肥料を一切使わないオーガニックコーヒーで勝負した。審査では特に、口に含んだ後に広がるほのかな甘味や心地よい余韻が評価され、80点を獲得した。
沖縄珈琲生産組合の組合長も務める同園の宮城禎明代表(46)は「これまではワインでいう『テロワール』のように、畑の環境づくりと、それに付随する豆の個性を大事にしてきた」とし、今後はチェリー(果実)そのものの品質を底上げしたいと語る。
また、沖縄は国内で唯一のコーヒーの生産地であり消費地でもあることから「生産者やバリスタ、カフェを巻き込んで面白い取り組みを仕掛けていきたい」と述べた。
しらせコーヒー園は深い味わいを引き出すために収穫したチェリーを嫌気性発酵させるプロセスを加え、酸味と甘味のバランスが良い豆を追求。83・08点の高得点を獲得した。
同園の安村翔太代表(30)は「国際基準評価で認められ、自信につながった」と喜ぶ。久米島や県がコーヒーブランドを確立するには豆の安定供給が不可欠だとし、「今後は豆の品質向上に加え、生産基盤の拡充にも力を入れたい」と前を見据えた。
(当銘千絵)