太平洋戦争中の1944年8月、疎開する学童らを乗せて沖縄を出港後、鹿児島県のトカラ列島沖で米潜水艦に撃沈された「対馬丸」の犠牲者を悼む慰霊祭が27日、同県の奄美大島・宇検村で営まれた。遺体が多数漂着したことから2017年に建立された慰霊碑の前で、参列者らが献花。宇検集落の津田直隆区長(68)は「争いのない平和な日々が続くよう願う」とあいさつした。
新型コロナウイルス対策のため、集落の役員と児童ら計15人のみが参列。父(95)が遺体の埋葬などに当たり、当時を知る数少ない住民だという大島英世さん(72)は「コロナがなければ父を連れてきたかった。悲惨な歴史を語り継いでいきたい」と話した。対馬丸は長崎に向け出港した翌22日夜に撃沈された。判明している犠牲者数は国民学校の学童ら計1484人。
(共同通信)