26日午後、那覇市で県知事選の街頭演説中だった佐喜真淳候補に、複数の薬きょうのようなものが投げつけられた。いかなる理由があるにせよ、選挙戦の候補者に対して物を投げつける行為は「表現の自由」には当たらず、威圧というほかないと考える。何よりも、民主主義の根幹である選挙に水を差されたことが残念でならない。
薬きょうのようなものを投げつけた女性は、米軍北部訓練場跡地で見つかった銃弾などの廃棄物撤去を求め抗議活動をしている。佐喜真さんを支援する政権への批判が背景にあったと推察される。
だが、各地で繰り広げられる街頭演説は、候補者が正当な手続きをとって立候補し、自身の政策や思いを有権者に届ける貴重な機会であり、それを威圧的な行為によって妨げる権利は誰にもないはずだ。
さらに、投げつけられた「薬きょうのようなもの」は参院選演説中に安倍晋三元首相が銃撃された事件を想起させ、候補者や陣営が恐怖心を持つのは当然ではないか。実際に、佐喜真さんの陣営は今回の事案への対応や、今後の対策に多くの時間を割き、足を止めることを余儀なくされた。県警の捜査の行方は不透明だが、県知事選挙取材班の一員として今回の行為は容認できない。
今選挙戦は、告示前の前哨戦から候補者の演説を街宣カーで妨害したり、誤った情報が記載されたチラシが一部で拡散したりしている。
今後4年間の沖縄のリーダーを選ぶ大事な県知事選で、これ以上、候補者の言論を封じることや、情報をゆがめる行為がないように強く望んでいる。
(池田哲平)