リオデジャネイロ、東京五輪で水球日本代表としてゴールを守った棚村克行らが8月上旬、那覇商業高水球部を6日間にわたって指導した。母は石垣市出身。棚村が所属するブルボンウォーターポロクラブ柏崎(新潟県)、Kingfisher(キングフィッシャー)74(神奈川県)から日本代表経験者5人を含むトップ選手11人が技術や戦術を伝授した。那覇商は8月下旬に高知県で行われた全国高校総体で8強入り。九州大会3戦連続で敗れ続けていた鹿児島南を12―11で破るなど、これまでの壁を打ち破って各選手が成長した姿を見せた。
那覇商は攻撃力に秀でている一方、守備が課題となっている。実戦形式のゲームを通し、パス回しや守備の技術、チーム戦術を学んだ。
「みんなでライン合わせて」「プレッシャーをかけて」などと声を掛け、自らのプレーで手本を示した棚村。「何か教えるというよりも一緒にプレーし、少しでも刺激を与えることができれば」との思いで触れ合い、選手が自主的に学び取る姿勢の大切さを強調した。5月の連休期間中も選手たちの指導のため沖縄を訪れており、「毎年1回でも続けていきたい」と沖縄水球界を担う若い世代への思いは熱い。
棚村の指導は、那覇商の與那原祥(しょう)監督と棚村の兄・英行(ひでゆき)さんが大学時代の同級生であることから実現した。與那原監督は「初日と3、4日目の生徒たちの動きが全然違っていて、吸収する力がすごい。これまでトップ選手と触れ合う機会がなかっただけ」と成長ぶりに目を丸くした。
仲本幸之進主将は「沖縄は離島県で県外チームと試合が組めない。トップ選手は自分たちより何倍も考えながらプレーしている。フットワークや足の使い方、体の向きなど相手の動きを見ながらやっている」と技術の高さを肌で感じたという。
GKの大城心虎(ことら)は「棚村選手は積極的に前に出るプレースタイルでGKのイメージが変わった。こういう守り方があるのかと驚いた。手の位置、体をどのくらい浮かすかなど参考になった」と刺激を受けた様子。「守りでは当たりの弱さが課題。水の中でも沈むことなく、強く当たるプレーを参考にしたい」と飛躍を誓う。
チームは9月10日に開幕し16チームで争われる少年男子の国体に向けて、学んだことを生かし頂点を狙う。
(大城三太)