埋もれた「血の臭い」を掘り起こし伝えるために 松代大本営壕で見えた課題、沖縄でやるべきことは 沖縄・長野、交流学習会


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NPO法人松代大本営平和祈念館との学習会で話を聴く沖縄―長野市民交流の参加者ら=3日、長野市の信濃毎日新聞長野本社(信濃毎日新聞・秂(いなづか)弘樹撮影)

 【長野市で中村万里子】首里城地下の第32軍司令部壕(32軍壕)の保存・公開を通じ、沖縄戦の継承を考える「戦争の記憶を継承するための沖縄―長野市民交流」とNPO法人松代大本営平和祈念館は3日、長野市で学習交流会を開いた。国民やアジアの人々を犠牲にした国策の過ちや戦争の愚かさを、壕で次世代に伝えていく重要性を共有した。

 2日に松代大本営地下壕(松代壕)を見学したことを踏まえ、3日の学習交流会では沖縄・長野双方の現状や課題を説明した。松代壕を管理する長野市が、同壕の象山壕を紹介した説明板に記された朝鮮人の「強制連行」の文字を白いテープで消した出来事に触れた平和祈念館の北原高子事務局長は「私たちは連れてこられ方は論争しない。松代での過酷な実態について証言で話をする」と説明した。

 沖縄戦研究者の川満彰さんは戦争遺跡の保存・公開について「戦争をしない・させない展示にするべきだ」と強調した。松代町で天皇・皇后の御座所が一般公開されていないことについて、戦跡として残す意志の弱さや地上戦があった沖縄との違いを感じたという。「松代の課題を見て沖縄でやるべきことも見えてきた。継承に向け、各地域に埋もれた“血の臭い”を掘り起こす必要がある」とも話した。

 長野県は全国で最も多くの県民を満蒙開拓団として送り出した場所でもある。平和祈念館の飯島春光理事はソ連参戦後、関東軍の敗走で人々は捨てられた民となり、「集団自決」(強制集団死)も相次ぐなど沖縄戦との共通点を紹介した。 一行は3日、同市安茂里の海軍壕も見学し地域住民と交流した。