「今回が最後かも」元学徒らの強い思いに導かれ 映画「乙女たちの沖縄戦」白梅の悲劇を後世に 12日から沖縄市・音市場で上映


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「沖縄の人に導かれてできた映画」と語るドキュメンタリー部分を手掛けた太田隆文監督=8月16日、那覇市の琉球新報社

 「乙女たちの沖縄戦~白梅学徒の記録~」の上映が12日から、沖縄市のミュージックタウン音市場で始まる。

 同作は、「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記録」(2019年)を手掛けた太田隆文監督によるドキュメンタリーパートと、再現ドラマパート(松村克弥監督、太田脚本)の2部構成。沖縄県立第二高等女学校の生徒で編成された元白梅学徒の中山きくさん、武村豊さんらのインタビューなどを通じ戦争の悲劇を伝える。文化庁のアーツフォーザフューチャー事業の一環。

 太田監督は、前作の撮影で出会った中山さんがずっと頭にあり、白梅学徒を主題にしたという。映画制作が決まり、取材のアポ取りなど、前作で取材した人たちの力も借りて、撮影を勧めた。

 「沖縄の人に導かれ、支えられてできた映画だ」と感謝を口にする。

 撮影では、中山さんも武村さんも予定時間を大幅に超えて、インタビューに協力したという。太田監督は「お二人はいつも取材には『今回が最後かも』という気持ちで応じているという。その強い思いを感じた。沖縄戦を見つめることで、戦争の意味や国のあるべき姿が見えてくる。戦争体験のない世代に、戦争を伝える一助にしてほしい」と表情を引き締めた。
 (藤村謙吾)