「歩く広告塔」の玉城氏、娘2人で柔らかさを演出した佐喜真氏 県民の反応は<記者が語る沖縄知事選>上


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 第14回県知事選は現職の玉城デニー氏が33万9767票を集め、再選を果たした。知事選取材班が選挙戦を振り返った。

<選挙結果>玉城氏「歩く広告塔」

 ―結果をどうみたか。

 A 玉城氏はさながら「歩く広告塔」で、行く先々で県民の反応が驚くほどよかった。歩くほど、街頭に立つほど支持が広がるのを感じた。

 C 玉城氏は公約で真っ先に経済対策を掲げた。辺野古新基地建設反対はこれまで再三訴えてきただけに「基地か経済か」という保守系との対立軸を打ち消す狙いが透けた。オール沖縄の流れができ辺野古反対の主張は十分理解されている。「経済危機突破」を掲げる佐喜真淳氏の主張をつぶすことにつながった。

 D 玉城氏が勝ったというより、佐喜真氏が負けたという印象が強い。玉城氏は現職ゆえ目を引く政策の打ち出し方はなかったが「現実的」と評価されたかもしれない。

 E 佐喜真氏の「子ども特区」や観光支援策は政府頼りの印象が強く、具体策はみられなかった。普天間飛行場の2030年までの返還も唐突感があり、実現されなかった「5年以内の運用停止」と重なった。

 F 佐喜真氏は女性や無党派をどう取り込むかが課題だった。参院選で自民公認候補として善戦した古謝玄太氏や、佐喜真氏の娘2人を同伴させることで、陣営は「柔らかさ」を演出したが、空振りに終わった。

 D 2期目に臨む現職の選挙は信任投票の側面もあり、県民が一定程度玉城氏を信任したと考えていいのではないか。

 A 県政運営で失点もあった玉城氏が大差をつけられたのは、やはり新基地建設を強行したり、県政によって沖縄関係予算を減らしたりする政府に対して県民の不信感が強いからだ。

 E 政策論争というより人気投票の感は否めなかった。辺野古問題では明確な違いがあったが、基地以外での政策の違いが見えづらかった。有権者がどれほど政策面を投票行動の判断材料にしていたかは気になる。

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<統一地方選>相乗効果は限定的

 ―統一地方選が重なり30選挙が同日投開票だったが、知事選の投票率は過去2番目に低かった。

 E 4年前の知事選は、現職知事の急逝という衝撃があった直後だった。当時のようなムードはなく、街頭に集まるのも従来の支持層が中心で、無党派層や若者は前回ほど見かけなかった。

 A 地方議会選挙とのセット戦術が注目されたが、議員候補からするとまずは自分の当選が最優先。単に同日だからといって、相乗効果を発揮させるのはそう簡単ではないと感じた。

 F 佐喜真氏の地元の宜野湾市では、市長選で再選した松川正則市長の得票ほど佐喜真氏は票を取れていなかった。宜野湾は市議選もあり保守系候補が大勝したが、その地の利を佐喜真氏は生かしきれなかった。

 B 投票率の低さは、これまでと候補者の顔ぶれが同じで、新鮮味がなかったことも影響しているのかもしれない。

 A 政治に対する不信、諦めもないか。何度選挙で民意が示されても、政府の対応が変わらないことへの無関心が投票率低下につながっていないか。


<座談会出席者>

 池田哲平、大嶺雅俊、當山幸都、塚崎昇平(以上、政経グループ)▽知念征尚(暮らし報道グループ)▽明真南斗(東京報道グループ)

 


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