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大川家具、強みは自社開発 全従業員でマットレス分解作業…その知見を商品に<暮らしを豊かに・家具の「大川」>2


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
マットレスが軽自動車で持ち帰れることをアピールするポップが設置されているベッド売り場=沖縄市与儀のトゥデイ・オーケー

「なんと!軽自動車でツインベッドが持ち帰れます!」。アウトレット家具のTODAY O!K(トゥデイ・オーケー)のベッド売り場にはこんなポップが設置されている。シングルサイズで幅約100センチ、長さ約195センチと大きいマットレスは、以前は持ち帰りが困難だったが、近年、技術の進展で圧縮ロール化が可能になり、軽自動車でも持ち帰れるようになった。

トゥデイ・オーケー、maxplus(マックスプラス)、THE GRACE(ザ・グレース)など県内で6店舗を構える大川で、自社開発のマットレスは一番人気の商品だ。1万円台から15万円以上する高価格帯まで、客のニーズに合わせて展開。合計で年間8千枚以上販売している。自社開発することで中間手数料を省き、低価格を実現。客のニーズをすぐに反映できるという強みも兼ね備える。

開発の背景には、客からの強い要望に加え、物流費の節約のためにコンテナの効率を上げる必要があった。「全スタッフでベッドの解体作業をしていた経験が役に立った」。商品本部の上茂大輔本部長は明かす。

大川は使い終わった家具の回収や代行販売、分解廃棄をしているが、過去に2年ほど、店舗スタッフ、バイヤー、開発担当者など部署を超えて全従業員がマットレスの分解作業をしていた時期がある。製造時期もメーカーもさまざまなマットレスの分解を通じて、耐久性の高い商品の構造などを学んだ。分解で得た知見を基に作られた圧縮マットレスは、耐久性が高くリサイクルがしやすい商品に仕上がった。使い終わったその先を見据えたものづくりが始まっている。

商品開発を支えるもう一つの仕組みが自社配送だ。「ただ物を運んでいるのではない。家具屋であるという自覚を忘れないで」。外間完一郎取締役は配送スタッフにこう伝えている。

新商品が出れば、売り場担当者と配送スタッフで勉強会を開く。商品について配達時に客から質問されたり、不具合が生じたりした時にすぐ対応できるようにするためだ。商品の不具合、製造工程でのミスは商品を開封、設置してみないと分からないことがある。家具を届けた配送スタッフがすぐに対応すれば顧客満足度は高まる。さらに、問題点を即時に社内で共有できることは、自社で商品開発をしている大川にとって大きなアドバンテージとなる。

外間取締役は「家具を届けるまでが家具を売る仕事だと考えている。最後までお客さんの声を聞くことで、業務プロセスの改善が図れる」と説明した。

(玉城江梨子)