【識者談話】侵入許せば希少種に脅威 戸田守准教授(琉球大熱帯生物圏研究センター)


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戸田 守准教授

 タイワンスジオと同じ大型ヘビ「ミナミオオガシラ」は1950年代、貨物に紛れてグアムに侵入し定着した。島固有の鳥類の多くを絶滅させるか減少させたほか、爬虫(はちゅう)類や小型哺乳類を補食し、島の生態系に甚大な被害をもたらしている。

 県が2018、19年度に実施した調査では、タイワンスジオの胃腸の内容物からクマネズミといった小型哺乳類、キジバトといった鳥類が確認されている。

 グアムの事例、胃腸の内容物から考えると、タイワンスジオがやんばる3村に侵入した場合、小型哺乳類「オキナワトゲネズミ」をはじめとした絶滅危惧種がそれこそ絶滅してしまう可能性が大きい。

 マングースのような哺乳類と比べて、目に見えにくく隠れて生息するヘビ類の防除は極めて難しい。

 外来種対策の要はまず、分布している地域と、していない地域を遮断することであり、県が行う分布域調査と北上防止柵改良は大事なことだ。それとともに、住民に周知し、みんなの目で監視していく必要がある。
 (爬虫類学)


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