オスプレイ事故後の飛行に二重基準か 海外では停止、県内では継続 配備前の危険性指摘、現実に<欠陥機今も~オスプレイ配備10年~>上


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ノルウェー北部の海岸に緊急着陸した米空軍のCV22オスプレイ(ノルウェー国防軍提供)

 8月12日、ノルウェー北部の自然保護地域に米空軍のCV22オスプレイ1機が緊急着陸した。クラッチの不具合の可能性があったためで、エンジンが操作不能になる恐れもあった。緊急着陸を受け米空軍は8月16日、CV22の飛行停止を表明した。

 CV22は米軍普天間飛行場所属の海兵隊仕様・MV22と機体構造や基本性能が同一だ。CVの飛行停止を受け「同様の問題があれば、地上待機させ安全確認すべきだ」(玉城デニー知事)と普天間所属機の飛行停止を求める声が相次いだ。

 クラッチの不具合で空軍がオスプレイを飛行停止する中、海兵隊は「両機種の任務環境と機体構成が異なっている」と運用を続けた。空軍もリスク軽減のガイドラインなどを挙げ、9月2日にCV22の飛行再開を決めた。

 普天間のMV22は2012年10月の配備以降、墜落や緊急着陸など県内で事故17件を起こした。16年12月に普天間所属のMV22が名護市安部に墜落した際、海兵隊は6日後に飛行を再開した。海外では予防措置的に飛行停止する一方、県内では大事故の後も早期に運用を再開する「二重基準」にも見える。

 墜落事故のあった安部周辺は今もオスプレイが飛び交う。区に住む川田正一さん(71)は「CVは不具合が見つかって運用を停止しているのに、MVは県内で飛び続けている。欠陥機をこの豊かな海に再び落とさないでほしい」と不安を口にした。
 (塚崎昇平、友寄開)


 米海兵隊のMV22オスプレイの普天間飛行場配備から10月1日で10年となる。墜落事故や機体トラブルなどで、配備時に県民が指摘した危険性は現実となっている。「欠陥機」との指摘を受けながらも、飛行訓練を強行する現場を追った。


16年の墜落事故後も騒音激化 変わらぬ現状に周囲の住民「うんざり」 <欠陥機今も~オスプレイ配備10年~>上続き