非金融分野で支援拡大 総合サービスグループ目指す OFG発足1年、山城正保社長に聞く


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インタビューに答えるおきなわフィナンシャルグループの山城正保社長=沖縄銀行本店(大城直也撮影)

 沖縄銀行を傘下に置く持ち株会社「おきなわフィナンシャルグループ(OFG)」が、昨年10月1日に発足してから1年を迎えた。山城正保社長(沖銀頭取)にこの1年の取り組みや展望を聞いた。

―多様化する顧客ニーズへの対応、金融領域以外への事業拡大などを掲げ体制移行した。

 「沖縄経済が飛躍する上で、金融以外の領域の支援をすべきだという構想は新型コロナウイルス前からあった。販路拡大やコンサルティング機能、人的支援を含め、大きな視野で県経済や県民、県内事業者を支えると心を強くした」

―組織の意思決定に変化はあったか。

 「意思決定のスピード化に加え、情報伝達が素早くなった。銀行やリース、カード会社などの連携がより深まり、OFG全体でのワンストップのサービス提供につながっている」

―中期経営計画で2024年3月期の連結純利益を60億円と掲げた。

 「厳しい金融環境が続き挑戦的な数字と考えていたが、グループ連携がある程度確立され、下振れはまずないと思う。さらに拡大していく」

―沖縄経済の課題は。

 「特にDX化がある。ペーパーレス化が進まず、押印の文化もまだ残っている。出張先でも権限者が決裁できるなど、OFGの技術をDX化パッケージとして展開していく。コロナ禍で影響を受ける観光関連産業は、足腰の強い、筋肉質なビジネスモデルにしないといけない。沖縄の恵まれた原材料を本土メーカーに送り込むのではなく、自ら商品化し付加価値をつける6次化も課題だ」

 「(全国の)1%経済と言われる県内でパイを奪い合うのではなく、県外・海外進出を模索すべき時期にあると感じている事業者も多い。ただ、海外は現地事務所設立や商標登録、保険などの障壁があり、二の足を踏む現状がある。地域総合商社のみらいおきなわを中心に、公的機関とも連携し橋渡しをしていく」

―10年後の銀行の姿をどう想像するか。

 「なかなか先は読めないが、5~10年後に金融だけで事業が成り立つかといえば厳しい。沖縄も人口減少へ進む中で、金融をコアとする総合サービスグループを目指しOFGをつくった判断は正しかったと考えている」

(聞き手 當山幸都)