【識者談話】オスプレイ県外分散は可能 沖縄への集中、ぜい弱性増す 野添文彬・沖国大准教授


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 垂直離着陸ができるヘリの特性と、高速度の飛行機の特性を持つオスプレイを海兵隊は「革命的兵器」とする。2017年ごろから離島を臨時拠点化する「遠征前方基地作戦」(EABO)も進める。小部隊が分散して離島に侵入し、敵に対抗する作戦構想だ。空港などの整備が不十分な離島への侵入も想定され、オスプレイは不可欠だ。

 前任のCH46輸送ヘリから航続距離が伸び、オスプレイの県外訓練も増えた。この点から「配備場所は沖縄でなくてもよい」という論理は成り立ちやすくなった。南西諸島での活用を念頭にする自衛隊オスプレイも、千葉県に配備される。在沖米海兵隊のローテーション配備など県外への兵力分散も可能になる。

 オスプレイの沖縄配備当時と現在を比べると、台湾情勢を巡る米中衝突は「現実味が増した」と捉えられている。国内で沖縄は「戦略上の要衝」とされるが、アジア全体や米国からみると日本列島を含む第1列島線全体が戦略上重要だ。中国のミサイル能力を考えると、沖縄への基地集中はぜい弱は増す。それを見過ごし「基地は沖縄にあればよい」と考えるのは安易だ。

 オスプレイは、沖縄配備後もしばしば事故を起こし、危険性への県民の不信感は解消されていない。米軍や日本政府は県民感情にも配慮すべきだ。

(国際政治学)


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