墜落や部品落下、騒音被害…飛行方法も順守されず 政府の当初の説明と食い違い オスプレイ沖縄配備10年


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住宅地の上空を飛び、普天間飛行場に向かう米軍のMV22オスプレイ=21 日、宜野湾市(小川昌宏撮影)

 2012年10月に普天間飛行場に配備された米海兵隊のMV22オスプレイについて、日本政府は当初、老朽化したヘリコプターとの入れ替えによって安全性は高まると主張。騒音も減るとして配備を正当化した。だが、配備後は墜落や部品落下などトラブルが相次ぎ、低周波音による騒音被害も報告される。飛行方法を順守するとした約束も守られていない。

 オスプレイは構造上、ヘリコプターと比べ、エンジンが停止した場合にローターで気流を受けて軟着陸する「オートローテーション(自動回転)機能」が欠けていることなどが指摘されている。

 日米両政府は配備時、プロペラを上に向けたヘリモード飛行は米軍施設・区域の上空に限ることで合意したが、実際は配備直後から合意に反する飛行が常態化している。

 放出する熱気流が強いことも懸念されてきた。普天間所属のオスプレイが和歌山県での災害救助訓練で着陸時に芝生を焦がしたほか、ネパール大地震の救援活動では民家の屋根を吹き飛ばす被害を出した。

 騒音についても被害は続いている。心身への悪影響が懸念される低周波音(1秒間に100ヘルツ以下)は従来ヘリよりもオスプレイで強く出るとされる。

 配備から5年がたった17年に琉球新報が渡嘉敷健琉球大准教授の監修で低周波の影響を調査したところ、普天間飛行場の周辺に暮らす127人のうち7割超が戸や窓の振動など物的な影響、6割が心理的な影響を訴えた。「頭痛」「耳鳴り」などの体調不良を訴えた人も3割いた。

(明真南斗)


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