「OISTの誇り」学長ら、沖縄での研究に期待 ペーボ氏ノーベル賞


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
OISTの建物外観(資料写真)

 「ネアンデルタール人と現生人類は無関係」。人々が学校で学んだ古人類学を覆す研究を重ねてきた沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスバンテ・ペーボ客員教授が、2022年のノーベル医学生理学賞に輝いた。ピーター・グルース学長も「OISTの教員として迎え入れることに貢献できたことを誇りに思う」とコメントを発表し、大学関係者は喜びに包まれた。

 >>OISTなどのチームでスバンテ・ぺーボ氏らが取り組んだ研究はこちら

 日本国際賞受賞時の業績解説によると、ペーボ氏はネアンデルタール人の骨を解析し、DNAが現生人類に引き継がれていることを突き止めた。新型コロナウイルスの感染拡大後は、ネアンデルタール人のDNAとコロナの感染の関係についても研究した。

 受賞決定で、ペーボ氏が客員教授を務めるOIST関係者には、喜びが広がった。ペーボ氏はOISTに研究室を持ち、5人の研究員がいる。今年5月に講演のため、初めてキャンパスを訪れたという。

 同大広報担当の大久保知美さんは「とても穏やかで落ち着いた雰囲気の方」とペーボ氏の印象を語る。「ノーベル賞受賞は驚いたと同時に、やはりうれしかった。沖縄に来たときには、おめでとうございますと言いたい」とかみしめるように語った。

 ペーボ氏は1年のうち3カ月ほどをOISTで研究する予定だったが、新型コロナの影響で来日は一度にとどまっているという。

 グルース学長はコメントで「今後、OISTでネアンデルタール人とホモ・サピエンスのゲノム比較解析に取り組むことを希望する」と展望した。

 (塚崎昇平)

【関連記事】

【速報】ノーベル医学生理学賞にスバンテ・ペーボ教授 沖縄科学技術大学院大にも在籍 DNA解析に基づく人類の進化の研究

▼「今こそ未来に投資を」沖縄科学技術大学院大学で10周年式典

▼OIST、スタートアップ支援の拠点構想 4000人の雇用創出も

▼OIST、2019年の世界の研究機関ランキング世界で10位

▼財務省の「高コスト」の指摘に、ネイチャー調査で世界9位のOIST「世界の競争相手と同等」