コンビニの生ゴミで発電 沖縄県内初の取り組み 財全Gが浦添市に循環型施設


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竣工式でテープカットする財全グループの池田盛作会長(左から3人目)、財全エネシフトの遠山忠宏取締役(右端)ら=5日午前、浦添市伊奈武瀬

 不動産事業などを手掛ける財全グループ(浦添市、池田盛作会長)はこのほど、賞味期限切れになったコンビニの弁当や総菜などの生ゴミ(食品廃棄物)を再利用し、バイオマス発電の原料や農業用の土壌改良剤として生かす施設「財全バイオマスエネルギープラント」を浦添市伊奈武瀬に完成させ、運用を始めた。敷地面積は約660平方メートルと小規模で「エネルギーと食の地産地消」を実現する循環型のモデルとして、他地域での展開も視野に入れる。

 食品残さのみを使ったバイオマス発電は県内初の取り組みで、グループ会社の財全エネシフトが手掛ける。セブン―イレブン・沖縄(那覇市)と、県内のセブン―イレブン向けの弁当や総菜を製造する武蔵野沖縄(浦添市)が提携し、両社で発生した食品廃棄物を再利用する。

 プラントでは、まず機械が自動で食品廃棄物を容器と分別。原料調整をして発酵タンクに移す。発酵によって生成されたメタンガスを活用して発電する。現時点では毎時49キロワットを発電でき、増量も可能だという。発電分は売電する。

 最終的に残る食品廃棄物は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の協力を得て、土壌改良剤として周辺地域で農産物などの生産に活用する。

 財全エネシフトの遠山忠宏取締役が、地元の新潟県で取り組んできたバイオマス発電と循環型農業を組み合わせる事業で蓄積したノウハウを提供する。遠山氏は「エネルギーと食の地産地消のモデルを県内にも普及させたい」と語った。

 台風などによる停電時には自家発電に切り替わる。池田会長は「ガスだけの供給もでき、施設規模も小型なので、離島や土地の利用に制限がある市町村でも建設できる」と展望を語った。(當山幸都)