外国人の住居探し、なぜ難しい? 沖縄の「ちゃんぷるー文化」に壁 家主が敬遠する背景


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日本のごみの分別について勉強する留学生ら=那覇市西のゴレスアカデミー日本文化経済学院

 留学生や技能実習生など海外からの入国受け入れが再開する中、外国人の住居探しが難航している。文化や習慣の違いから起きるトラブルを避けるため、物件のオーナーが外国人への賃貸を敬遠していることなどが背景にある。

 ネパール人留学生などが通うゴレスアカデミー日本文化経済学院(那覇市)は、学生寮のアパート借り上げのために15件の物件を当たったが全て断られた。那覇市の別の日本語学校では、アパート契約の最終段階でオーナーに反対され契約できなかった。留学生をしばらくホテルに滞在させた後に、何とか物件を確保した。

 個人の物件探しも難航する。ミャンマー出身のチョウ・ナイン・トゥンさん(37)は、沖縄に住んで14年になる。2年前に県内で引っ越すことになり、那覇市内でアパートを探したが3件に断られた。「長年沖縄に住んで職に就いていても住宅探しは難しい。沖縄はミャンマーと気候や食べ物も似ていて人が優しいので行きたい人は多いが、現状だと厳しい」と話す。

 全日本不動産協会県本部によると、一部の外国人のごみの分別方法や、食べ物に使う強い香りの香辛料などが、近隣住民のクレームにつながるケースがあるという。例えばミャンマーではごみを分別する習慣が浸透していないため、日本に来たばかりの外国人がごみを分けずに出すケースなどがある。

 担当者は問題なく生活している人はいるとした上で「トラブルが頻繁に起こると、家主はどうしても『外国人お断り』となってしまう。日本の一般的な社会生活のルールをもう少し勉強してほしい」と語る。同協会では賃貸に関する多言語のガイドブックを作っているが活用が進んでいないという。多言語で説明できるスタッフがいないことも課題となっている。

 かながわ外国人すまいサポートセンター(横浜市)は、全国でも珍しい外国人の居住支援に特化したNPO法人だ。官民が連携して1998年に設立した。住まい探しの相談窓口だけでなく、住まいに関する多言語マニュアルを外国人に説明したり、不動産業者や大家向けに文化の違いなどの理解を深める研修を開いたりしている。神奈川県では外国人への賃貸を仲介する不動産業者を「外国人住まいサポート店」に登録する制度を設けるなど環境整備が進んでいる。

 同センターの担当者は「外国人だからといって断るのではなく、その人が必要としていることを考えてほしい」と話した。言語の環境整備についても国内はなかなか前に進んでいないといい「貸す側も(言語対応を)今一度考えてほしい」と話した。
 (金盛文香、中村優希)


【識者談話】行政主導で多文化共生の実現を 外国人の住居探し難航 新垣誠・沖縄キリスト教学院大教授