【識者談話】行政主導で多文化共生の実現を 外国人の住居探し難航 新垣誠・沖縄キリスト教学院大教授


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新垣 誠氏

 留学生などが増えた10年ほど前から住居探しが困難だという話を聞くようになった。日本全体で人権を尊重する意識が整っていないのもあるが、在住外国人が多い他府県に比べると、沖縄はまだ多文化共生社会への取り組みが甘い。不動産に関わる人にとっても、住民からのクレームが多い、においが残るということなどは、収入に関わり死活問題となる。課題の解決には行政の関わりが欠かせない。

 現在の県政でも多文化共生はSDGsとも絡めて一つの大きな柱となっている。昔から「ちゃんぷるー文化」と表現されることもあった。理念は素晴らしいが、実際の生活レベルでは摩擦が生じている。

 在住外国人への理解は企業や個人によって温度差があるのが現状だ。行政主導で多文化共生を実現する必要がある。在住外国人が多い他府県では、交流会が頻繁に開かれている。ごみの出し方や飲食の方法など生活習慣の違いを理解し、歩み寄ることが目的だ。

 住民トラブルの解消や外国人への研修を行う多文化共生コーディネーターを自治体に配置することも効果的だ。学校教育で国際理解、異文化理解の教育を推進する必要もある。

 今後の日本の少子化を考えると、外国人労働者の受け入れは取り組まないといけない課題だ。住居問題も含めて互いの利益になる仕組みや仕掛けを検討するべきだ。条例の制定など行政が主導して、日々の生活の中で多文化共生を実質化する努力が必要となる。
 (異文化コミュニケーション学)


外国人の住居探し、なぜ難しい? 沖縄の「ちゃんぷるー文化」に壁 家主が敬遠する背景