辺野古 保全と指導、同会社発注 ジュゴン対策で契約


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 沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設の関連事業で、「ジュゴン監視等業務」と、それを「指導・助言」することを目的とした環境監視等委員会の運営業務を2014年度に同時発注していた。請け負い業者は建設環境コンサルタント会社「いであ」(東京都)。ジュゴンの保全措置と、それを「指導・助言」する委員会の運営を同じ会社に随意契約で同時発注した防衛局の姿勢に対し、市民団体などからは批判の声が上がっている。

 沖縄防衛局は本紙の取材に対し、「専門性が高いジュゴン監視・警戒システムの審議のため、委員会資料の作成、補助を本業務で行うことが効率的だ」と説明した。さらに委員会の運営業務に「議事録(議事要旨を含む)などの庶務を行う」と記載されているが、実際公開しているのは議事要旨だけ。防衛局は県に「議事録は作成していない」と説明していた。
 平和市民連絡会の北上田毅さんが情報公開請求した資料で分かった。防衛局のホームページで公開されている契約結果書では業務概要について「キャンプ・シュワブ沿岸域などにおけるジュゴンの監視業務などを行うもの」とされ、委員会運営については記載されていない。北上田さんは「運営業務はどこのコンサルタント会社でもできる。当初から『いであ』にさせる前提で、外に分からないようにした工作としか思えない」と疑問を呈した。
 「ジュゴン監視等業務」はことし3月10日と27日に2回に分けて随意契約され、合計金額は9億1314万円。履行期間はそれぞれ契約日翌日から来年3月31日まで。業務はキャンプ・シュワブ沿岸域と沖縄本島周辺海域のジュゴン監視業務などとなっている。13年度は環境監視等委員会の運営と委員の指導・助言を整理・検討などする業務の随意契約をしていた。
 「いであ」は委員会の委員である荒井修亮京都大教授(海洋生物環境)に800万円の寄付をし、同社会長が代表のNPOから同じく委員である原武史全国水産技術者協会理事長(水産増養殖)に年間200~300万円の理事報酬が支払われた。「いであ」と荒井教授、原理事長らは共同でジュゴンの研究をし、辺野古の新基地建設事業のジュゴンの保全措置に反映されていた。