和牛五輪、沖縄県最高更新 竹富・下地さん生産の繁殖雌牛4位


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「第12回全国和牛能力共進会」の2区で優等賞4席となった雌牛「しもじ51」と生産者の下地太さん=9日、鹿児島県霧島市(提供)

 鹿児島県霧島市を主会場に開かれた和牛の品評会「第12回全国和牛能力共進会」(鹿児島全共)が10日、5日間の日程を終え閉幕した。5年に1度の開催で「和牛のオリンピック」とも呼ばれている。今回、沖縄からは種牛、肉牛、特別の3部門に14頭が出品され、2区で4位に相当する優等賞4席の好成績を収めた。

 2区は14カ月齢から17カ月齢未満の雌牛が対象で、繁殖雌牛候補としての能力を評価する。県勢は下地太さん(48)=竹富町黒島=が生産した「しもじ51」が出品され、繁殖に用いられる牛を対象とした種牛部門ではこれまでの最高位を更新した。

 八重山地区から25年ぶりの出品を果たした下地さんは、黒島から3度船を乗り継いで鹿児島まで牛を輸送した。「一時餌を食べなくなるなど大変だったが、会場に入って状態が良くなってくれた。自信はあったが思った以上の結果だ。全国に沖縄の和牛をアピールでき、市場の活性化につなげたい」と喜ぶ。5年後の北海道全共に向け「しもじ51の子で日本一を目指したい」と飛躍を誓った。

 県勢は母・子・孫の雌牛3頭を審査する5区の中部地区和牛改良組合が優等賞9席、後継者育成を目的に新設された高校・農業大学校対象の特別区では県立南部農林高が優等賞17席となった。

 県家畜改良協会の赤嶺雅敏事務局長は「出品された県勢の牛は、レベルが高かった。課題を改善できればさらに上位が見えるだろう。県勢の活躍や特別区の新設で、他の畜産農家にとっても励みになる」と話した。

 鹿児島全共は過去最多の41道府県から438頭が出品。鹿児島が6区分、宮崎が2区分、大分が1区分で首席となり、全9区分を九州勢が独占した。 (小波津智也)