素直に自分を生きよう 県系人に救われたこと 崎原末子(フレンズ&5代表取締役)<女性たち発・うちなー語らな>


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崎原末子氏

 自分で計画していく旅が大好きだ。特に海外で出会ったウチナーンチュの皆さんには、言葉では表せないほど学んだ。1993年から2005年まで12年間旅行の企画運営の仕事をしていた。96年のサンフランシスコ移住100年祭、シアトル桜まつりは仕事で関わり、ハワイ沖縄プラザの落成式などでは、女性団体の団員として参加した。現地で迎える人々の心からの笑顔に驚いた。

 どのツアーも滞在10日程度の表面的な付き合いかもしれないが、なぜかとても開放感に満たされ世界のウチナーンチュに仲間入りした気分になった。

 しかし楽しいことばかりではない。かつて移民した人々がどれだけの思いでそこで暮らし、季節を重ねていったのだろう。差別、戦争、言語や慣習の違いはどうなっているの? など頭の中は、むぬかんげーで埋まる。

 個人的な話になるが、近しい人で戦後間もないころ米兵と国際結婚し、渡米した女性がいる。子どもをもうけたが若くして亡くなった。死因はいまだに家族にも知らされていないようだ。県系人の絆につながっていれば、少しは明るい人生を送れたのではないかと思いを巡らせた。

 サンフランシスコ移住100年祭に合わせて沖縄から大勢の舞踊団が訪問した。現地の県系人を招き「ふくらしゃや沖縄」という公演を開催。舞踊団は朝から夜までずっと踊りっぱなしで疲労困憊(こんぱい)の様子。私は出演者を少しでも癒やそうと必死に踊った。そのダンスがなぜか大爆笑! それがきっかけになって緊張がほぐれ、泣いたり、笑ったり、みんなでハグ&カチャーシー! あの時の渦のような大きなエネルギーは、今まで経験したことがなく、少し内向的な私が、誰かのために一生懸命になる。こんなにも笑っている。新しい自分に出会った瞬間だった。

 海外での出来事は、暮らしている場所から離れることで、自分自身を深く顧みる機会も多く、故郷や家族への思いも素直に言葉に出していいんだ、もっと自然に、もっと素直に自分を生きようと思った。当時よく耳にした「Think Grobally.Act Locally」の言葉がふに落ち、社会の中でなんとなく不平等な環境に生きづらさを感じていた20代後半に希望を感じて救われた。世界中の人々が、地球人として大きな視野で分かち合い認め合える世の中であってほしい。

 ハワイ県系人でBIGINの音楽を車で聞きながら、信号待ちの間に民謡楽器三板を響かせながら故郷を思い歌う友人がいる。その人たちも皆「島人の宝」だ。今月末6年ぶりに世界のウチナーンチュ大会が開催される。世界中に翔(はばた)きスピリッツを受け継いだ全ての参加者を「お帰りなさい!」の大合唱で迎えたい。


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 さきはら・すえこ 1963年生まれ、本部町出身。民間企業で広告事業、旅行企画・運営、保険業務を経て保険代理店「フレンズ&5」代表取締役。88年~現在まで34年間にわたりボランティア活動、所属団体において日本代表、国際会議の議長を歴任し、男女共同参画に関する活動に取り組んでいる。県女性の翼副会長。