再生医療の資金をネット調達 由風BIOメディカル 医療系では県内初、知名度向上狙う


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由風BIOメディカルの中濵数理代表(右)、谷正風代表=19日、うるま市(提供写真)

 【東京】うるま市で再生医療事業や体外診断薬の開発を手掛ける由風(ゆかぜ)BIOメディカル(中濵数理・谷正風代表)が19日、株式投資型クラウドファンディング(CF)による資金調達を始めると発表した。医療系のスタートアップ(新興企業)では県内初の試み。個人投資家らから1504万8千円以上の調達を目指す。募集期間は26日から11月7日まで。中濵代表は、新規事業の促進とともに、市場での知名度向上にもつなげたい考えで、「沖縄を再生医療の“先進県”としてブランド化していきたい」と意欲を示した。

 株式投資型CFは、非上場の新興企業が、最大9999万円の資金調達を行える仕組みとして2015年に始まった資金調達手段。政府は、新興企業の育成を10月末に策定する総合経済対策に盛り込む重点事項としており、個人投資家と事業資金を集めにくい新興企業を結びつける制度として注目を集めている。

 20年創業の由風BIOメディカルは、うるま市の細胞培養加工施設(CPC)で、再生医療関連製品の製造受託事業を手掛ける。新たに、再生医療サプライチェーン(供給網)を総合的に管理できるプラットフォーム構築のためのシステム開発に着手しており、「調達資金で事業をさらに加速させたい」(中濵代表)としている。

 再生医療事業などバイオ関連分野は、県が進める2022年度からの新たな沖縄振興計画でも、注力する産業振興施策に位置付けられている。

 同社は、22年度の「沖縄産業振興補助事業者」に採択されており、県との協働で再生医療の産業化を進めている。  国内の大手医療メーカーと連携し、23年9月からうるま市で体外診断薬などの製造を開始する予定で、製造拠点の稼働に向けて県外の県出身者や県内の人材確保も想定する。

 中濵代表は「再生医療でのブランド化は、医療ツーリズムの展開や地場産業への波及効果もある。今回の資金調達をブランド化に向けた機会のひとつとしたい」と力を込めた。資金調達の詳細は、イークラウド(http://ecrowd.co.jp/projects/14)まで。  (安里洋輔)