トマス技研「無煙無臭無ダスト焼却装置」特許技術が中小企業庁長官賞 九州地方発明表彰で3度目


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「無煙無臭無ダスト焼却装置」の特許技術が、2022年度九州地方発明表彰の中小企業庁長官賞に選出されたことを報告するトマス技術研究所の従業員ら=24日、うるま市の同社

 小型焼却炉製造のトマス技術研究所(うるま市、福富健仁社長)が開発した「無煙無臭無ダスト焼却装置」の特許技術が、2022年度九州地方発明表彰の中小企業庁長官賞に選ばれた。同社として九州地方発明表彰で3度目の受賞となり、小規模な町工場ながらアイデアと開発力を磨き、大手製品とは一線を画したニッチな需要を取り込んでいる。福富社長らは「技術を通した環境改善を通して、地域の課題解決に努めたい」と受賞を喜んでいる。

3度目の九州発明表彰 開発、アイデア 大手と一線

 受賞した特許技術は、廃棄物を焼却する際の公害物質の排出を防ぐ環境性能を追究した。トマス技研創業時に開発した燃焼技術を基としており、2014年に特許登録されている。

 焼却炉に廃棄物用の着火バーナーや排ガス燃焼用バーナー、燃焼用の空気供給機器を設け、これらを全てコンピューターで制御。廃棄物が燃焼中に荷崩れすると不完全燃焼が発生してしまい、ばい煙や臭気、微粒子を煙突から排出する恐れがあるが、独自の制御技術によって煙やにおいを出さずに焼却している。

 トマス技研営業課の小牧稔仙氏は「経費削減で小型焼却炉を導入する事業者が増えている。家具や畳、型枠など焼却する対象はさまざまだが、特許技術によって利用者のニーズに合った焼却炉を開発することができている」と説明する。

 小型焼却炉は漂着ごみの処分に悩まされる小規模離島で手軽に導入できる利点があるほか、公害対策が遅れている発展途上国への輸出可能性など海外展開にも挑んできた。小牧氏は「離島やへき地では、環境に配慮した小型焼却炉の需要が高い。そうした地域の困りごとを解決するためにも、コロナ禍で断念していた海外への営業展開も検討したい」と話した。

 (小波津智也)