【日/En/Es】ゆいまーるの心で団結~県系人の歩み・ペルー<海を越え、つながる輪>


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昭和初期、リマ市にあった知念商店(南風原文化センター所蔵『大琉球写真帖』より 那覇市歴史博物館提供)

 まっちょーたんどー!今月30日から11月3日の日程で第7回世界のウチナーンチュ大会が行われます。新天地を夢見て世界に羽ばたいたウチナーンチュやその子孫が故郷沖縄に帰ってきます。小中学生新聞にこれまで掲載してきた連載「海を越え、つながる輪」の中から、県系人の歩みと現地で活躍するステキな先輩を紹介します!

[English]Matcho-tando! The 7th Worldwide Uchinanchu Festival will be held from the 30th of this month to the 3rd of November. Uchinanchu and their descendants who dreamed of a new land and spread their wings to the world will return to their hometown Okinawa. From the series of articles in the elementary and junior high school newspapers, "Crossing the Sea, Connecting Circles," we introduce the progress of Uchinanchu and their wonderful seniors who are active in their hometowns!

[Espanol]¡Machotando! Los VII Juegos Mundiales de Uchinanchu se celebrarán del 30 de este mes al 3 de noviembre. Uchinanchu y sus descendientes, que soñaban con un nuevo mundo, volverán a su ciudad natal, Okinawa. A partir de la serie "Cruzando el mar, enlazando el círculo" en el periódico de la escuela primaria y secundaria, presentamos el progreso de Uchinanchu y sus maravillosos mayores que son activos en sus ciudades de origen.

Ryukyushimpo Multilingual NEWS

沖縄県での研修や留学経験のある若者らが実施したイベントで行われた石敢當ゲーム。マジムン役が石敢當役に捕まらずにゴールを目指す。市町村対抗で楽しみながら沖縄文化を学んだ(ペルー沖縄県人会キムタカ会提供)

English   Espnol

 ペルーは日系移民、沖縄県系移民が初めて踏んだ南米の地です。ペルーへの日系移民は1899年に始まりました。7年後の1906年、日本からの第3回契約移民として沖縄県民36人が初めてペルーに渡り、リベルタ州サンタクララ耕地で働きました。泥と葉を固めた粗末な住居や厳しい労働で病気になった人もいました。契約終了後、多くの県系人がリマ市に移り住みました。

 リマ市の県系人は飲食店や雑貨店などを営み、生計を立てました。彼らは頼母子講(模合)を立ち上げ、ゆいまーるの精神で助け合い、団結を深めました。20年代には沖縄にいる親類らをペルーに招く「呼び寄せ移民」も増えていきます。1906年から41年までに日系移民の35%に当たる1万1753人の県民がペルーに渡りました。

1930年代、都市部では日系人が商業に進出。それに伴い、排日機運が高まっていきます。40年に大暴動が起き、日系人の商店などが略奪の被害を受けました。41年の真珠湾攻撃により、日系人は敵性国民として資産の凍結や没収、アメリカの強制収容所への送還に追い込まれます。日本語学校も閉鎖され、日本語教育も禁止されました。終戦後、苦しい生活を強いられる中でも県系人有志が広く一般に呼び掛け、沖縄戦で荒れ果ててしまった故郷・沖縄へ衣類や生活必需品、復興支援金を送りました。

48年、沖縄からの移民が再開されます。戦後移民の多くはペルー在住の1世が教育のために沖縄へ送った2世の呼び寄せでした。50年代、正式に沖縄県人会が発足。毎年、市町村対抗のスポーツ大会や演芸会などで交流を深めています。師弟の教育にも熱心で、沖縄県への県費留学などを通し沖縄文化の継承に努めています。

 


 

第6回世界のウチナーンチュ大会グランドフィナーレでペルーの国旗を持つ伊佐正アンドレスさん=2016年、那覇市

<ステキな先輩!>県系人の誇り祝う日を/リマ出身・県系3世 伊佐正アンドレスさん(30)

English   Espnol

  第6回世界のウチナーンチュ大会が閉幕した2016年10月30日、「世界のウチナーンチュの日」が制定されました。制定の立役者の一人が伊佐正アンドレスさん(30)=うるま市=です。「世界中のウチナーンチュが毎年、そのアイデンティティーを確認できる日を作りたかった」と話します。

 伊佐さんはリマ出身。母はスペイン系、父方の祖父母が東村出身の県系3世です。リマの日本人学校を卒業し大学生となった2009年、同校卒業生を名桜大学に留学生として派遣することになり、成績トップだった伊佐さんが選ばれました。その時は沖縄に強い愛着がなかった伊佐さん。沖縄で父方の親戚と初対面し、人々の温かさに触れ、「僕の居場所はここだ」と強く思うようになりました。留学中に猛勉強し、翌年名桜大学に合格します。在学中はスペイン語やラテンダンスの講座を持ち、積極的に南米文化を紹介しました。

 名桜大卒業後、同大に職員として就職。アルゼンチン3世の比嘉アンドレスさんと「各国の独立記念日のように、誰もが心一つになり、喜びを分かち合える日があるといい」と考え、世界のウチナーンチュの日制定に尽力しました。伊佐さんは「世界は広く、世界中に県系人はいる。若い人たちにそのネットワークをもっと有効活用してほしい。広い世界を見ることで、沖縄の良さに改めて気付くことができる」とエールを送りました。
                                                       (2021年6月6日付りゅうPON!掲載)


 

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