名護市議、辺野古移設「反対」「見守る」が拮抗 オスプレイ配備は半数が反対<名護市長・市議アンケート>


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=2022年3月17日、航空機より撮影

 【名護】米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備から、10月1日で10年を迎えた。名護市辺野古では普天間飛行場移設に伴う代替基地が建設中で、完成後はオスプレイが配備される見通しだ。米軍キャンプ・シュワブには周辺集落を取り巻くようにヘリパッドが点在し、集落の上空にはオスプレイが飛来する。琉球新報は26日までに、名護市の渡具知武豊市長や市議会議員26人にアンケートを実施し、辺野古移設問題やオスプレイ配備に関する見解などを聞いた。(長嶺晃太朗、松堂秀樹、岩切美穂、増田健太)

<市議の見解>

▼辺野古移設 「反対」「見守る」拮抗

 今回のアンケートでは、普天間飛行場の辺野古移設についての立場を名護市議に改めて聞いた。反対の立場は与党の公明党を含めて13人だった。与党会派「礎之会」13人は「係争中の国と県の推移を見守る」との統一見解を示した。なお、9月の統一地方選前に実施した本紙のアンケートでは「賛成」と答えた与党市議が4人いた。

 礎之会は渡具知武豊市長が以前から示しているスタンスと同様の見解となった。反対意見としては「県外国外への移設をすべきだ」などといった声があった。

▼オスプレイ配備 反対が半数、事故懸念

 名護市辺野古の普天間飛行場代替施設にはオスプレイの配備も想定される。「欠陥機」と指摘されるオスプレイがもたらす事故の危険や騒音被害がこれまで以上に、辺野古周辺住民にのしかかる可能性がある。オスプレイが辺野古に移転することへの賛否を名護市議に問うた設問(選択肢)では、公明を含む半数の13人が「反対」と回答した。

 与党会派「礎之会」(13人)は「その他」を選択。「オスプレイなどの運用機能のみ移転と合意されている」との統一見解を示し、防衛省の方針に沿った回答となった。一方、与党公明は「市民生活を不安にするような施設に対してはすべて反対」(大城秀樹氏)などと反対している。

 反対意見としては、「部品落下、墜落と10年間事故が絶えない」(翁長久美子氏)、「そもそも沖縄が代替施設を用意する必要はない」(東恩納琢磨氏)との声があった。「倍または数十倍ものオスプレイが配備される可能性がある」(神山正樹氏)との懸念もあった。

▼ヘリパッド 与党内で見解分かれる

 米軍キャンプ・シュワブにはヘリパッドが辺野古、豊原、久志周辺に6カ所あり、オスプレイも離着陸している。このうち集落に最も近いLZフェニックスは、沖縄工業高等専門学校のグラウンドから約300メートルの位置にある。「米軍機が住宅地や学校周辺で旋回し市民に不安を与えている」として、市はヘリパッド撤去を政府に繰り返し要請している。ヘリパッドへの考えを名護市議に問うた設問(自由記述)では、公明を含む半数の13人が撤去を求めた。

 与党会派の「礎之会」(13人)が「辺野古周辺のヘリパッドを移設先へ移転」との統一見解を示した。普天間からのオスプレイ移転とともに、辺野古のヘリパッドも代替施設に移転集約すべきだとの考えを示した。

 代替施設へのオスプレイ配備に反対した公明2氏は、住宅地や教育施設近くのヘリパッドの即時(早期)撤去を求め、与党内で見解が分かれた。「心くばりが大事」(大城秀樹氏)との注文もあった。

 野党は11人全員がヘリパッド撤去を求めた。その上で「午後10時以降は飛行しないとした日米ガイドラインを順守すべき」(大城松健氏)、「どうしても必要なら段階的に県外へ移設すべきだ」(多嘉山侑三氏)との意見もあった。

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市内6カ所配置

 面積の約10%を米軍基地が占める名護市。久辺3区は米軍キャンプ・シュワブに隣接し、米軍機や射撃訓練などによる騒音の被害を受けている。
 市によると、シュワブ内にはフェニックス、レイル、カーディナル、レア、グース、ガンダーの計6カ所のヘリパッドがあり、オスプレイが利用することもある。特にフェニックスは沖縄高専から300メートルほどしか離れていないため、市が撤去を求めている。地元住民からは、代替施設建設後にヘリパッドが撤去されるのか不安視する声も上がっている。

【市議回答全文はコチラ】