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住宅需要水準の動向 全国は低下、沖縄は横ばい<けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新設住宅着工戸数は、景気動向などの度合いを先行的に計る大切な指標の一つとされており、そのベースとなる住宅需要は、人口動態や住宅取得に対する価値観、さらに経済環境の変化などによりさまざまな影響を受けることが考えられます。単に時系列での動向変化のみならず、その水準を長期的に整理することで今後の地域経済の動きを知る上でヒントとなり得る可能性があります。

 図の通り、全国と沖縄の2021年度を起点とし、時系列での平均値を用いることで、直近の戸数の水準を長期的な視点から計り知ることができます。まず、21年度から1973年度までの49年間(の値)をならしてみると、全国で約123万戸、沖縄で1万4069戸となります。これを基準に5年おきに期間を縮めて順を追ってみると、全国の水準が横ばいから徐々に低下する一方、沖縄は上下することがありながらも概ね横ばいとなっています。

 前者が人口減少などを背景とした動き、後者は継続的な人口増加に加えて、コロナ前の観光関連ビジネスなどを捉えた需要が影響していると推察されます。つまり、域内需要のみならず、域外需要にも支えられて水準が維持されている可能性もあります。

 今後は、全国的な人口減少や高齢化社会が加速化することで、ビジネスや社会環境が変化することが予想されます。また、本県でも数年後に人口減少社会に転じることで、これまで維持されていた水準が弱含んでいく可能性もあります。空き家なども含む中古の既存ストックも併せた活用法もますます必要となってくると考えます。

(おきぎん経済研究所 當銘栄一)