復帰50年で沖縄県民の収入は2.6倍に 生活水準が改善、消費は「モノ」から「サービス」へ りゅうぎん総研リポート


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 りゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は7日、沖縄の日本復帰50年における県内個人消費の動向についてリポートをまとめた。現時点で公開されている県の統計資料などによると、実収入は1973年の12万8600円から2020年が33万2200円と約2.6倍に増え、消費支出に占める食費の割合を示すエンゲル係数も低下するなど50年間で生活水準の改善が見られた。消費対象の多様化や社会経済環境の変化に伴い、「モノ」から「サービス」へと消費構造の変化も顕著となっている。

 実収入の増加に伴い、消費支出も増加した。復帰時1972年の1世帯当たりの月平均額は8万4100円だったが、2020年は約2.3倍の19万3300円となった。エンゲル係数も1973年は33.8%だったが、2020年は4.5ポイント低下し29.3%となった。

 消費支出の費目別構成比では、「交通.通信」が1973年の6.4%から2020年は7.2ポイント上昇し13.6%を占めた。特に通信費はインターネット環境の整備でスマートフォンやパソコンが普及し増加した。「食料」「家具・家事用品」「被服及び履物」といった「モノ」は減少している。

 一方で実収入に占める可処分所得割合の推移を見ると、1973年の94.4%から20年は7.4ポイント下回る87.0%だった。要因には社会保険料の増加が挙げられ、少子高齢化が可処分所得を減少させる課題が浮き彫りとなっている。

 リポートを担当した米須唯研究員は「足元ではシェアリングエコノミーが広がる中で、モノの消費は縮小傾向になると思われる」と分析。個人消費の維持.拡大に向けて「全国との比較ではいまだに失業率が高く所得水準も低い。人口構造の変化に引き続き注視しながら、雇用環境の整備や所得の増加、消費意欲の醸成といった好循環を生み出すことが不可欠」と指摘した。
 (小波津智也)