基地PFOS「人権侵害」 国連報告者が問題視 先住民族の土地に「環境暴力」


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 国連の環境問題に関する特別報告者が、在沖米軍基地や自衛隊基地から漏れ出した有機フッ素化合物(PFOS)が「検出され続けていることが懸念される」として、問題視している。10月に開かれた国連総会第3委員会で発表された報告書「有害物質が先住民の人権に与える影響」に、ハワイやグアムなど世界各地の軍事基地により、先住民族の人権が脅かされている事例の一つとして記載された。

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 琉球民族独立総合研究学会によると、報告書は「世界中で軍事化が先住民の土地に環境暴力を与えている」と指摘している。その上で「事故、漏洩(ろうえい)、訓練、廃棄により、日本の琉球列島にある米国と日本の基地から、国の基準の1600倍にもおよぶPFOS、PFOAの汚染が報告されている」と記載した。

 報告書は「有害物質および廃棄物の環境的に健全な管理と処分が人権へ与える影響に関する特別報告者」のマルコス・オレリャーナ氏が作成した。沖縄から同学会が提出した報告などが参照されている。

 特別報告者は、国連人権理事会から任命された専門家。市民団体などからの報告を受けて調査し、人権理事会や国連総会あてに報告書を作成する。
 (宮城隆尋)

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