しまくとぅばで戦世に共感 証言記録、糸満で上映会


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登壇者の県平和祈念資料館友の会の大城藤六顧問(左から2人目)の戦争体験などを聞く参加者ら=12日、糸満市の県平和祈念資料館

 沖縄戦体験をしまくとぅばで証言した記録の上映会とトークセッションの平和学習会が12日、糸満市の県平和祈念資料館で開かれた。県平和祈念資料館友の会と「琉球弧を記録する会」が主催し、最後の激戦地となった糸満市の喜屋武、米須、真栄平、摩文仁の住民の証言を上映。住民ら約80人が共感を寄せながら沖縄戦への理解を深めた。

 証言記録は2005年に撮影。すでに亡くなった人も多い。この地域は、沖縄戦で日本軍の南部撤退によって戦闘の巻き添えになった。16人の証言記録では、避難した壕が米軍の攻撃を受けたり、銃を振りかざす日本兵に、くんできた水や食料を奪われたりしたといった体験が語られた。

 会場からの質疑もあり、当時14歳で大宜味村に避難した金城ノブさん(91)=糸満市真壁=は「戦争が最近に思われた。やんばるに逃げたのも大変だったが、南部は余計大変だったとつくづく感じた」と語った。

  琉球弧を記録する会の比嘉豊光代表は「与那国からやんばるまで約千人の証言を収集した。20、30年後にはしまくとぅばで体験を聞けなくなる」と指摘。県平和祈念資料館友の会の上原美智子副会長は「いろんな地域で上映会をしたらいいと思う」と望んだ。家族と訪れた長尾モリさん(85)=糸満市真壁=は「涙が出てくる。地域の人たちに見せてあげたい」と話した。 (中村万里子)