最高裁、辺野古却下か 国裁決取り消し抗告訴訟で弁論開かず 12月8日判決 


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最高裁判所

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が裁決取り消しを求めた抗告訴訟で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は24日、12月8日に上告審判決を言い渡すと決めた。一、二審判決とも県の訴えを退けていた。

 二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれないため、中身に踏み込まずに訴えを却下した二審の判断が維持される可能性が高い。

 2013年12月、当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認。その後、埋め立て予定海域に軟弱地盤が見つかったことなどを受け、県は18年8月に承認を撤回した。沖縄防衛局は、本来は国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を使って国交相に審査請求などを行い、国交相は19年4月に県の撤回を取り消す裁決をした。

 20年11月の一審那覇地裁判決は、県の訴えについて「自己の利益や権利保護を求めるものではない」とし、裁判所の審理対象にならないとした。裁決が適法かどうかの判断は示さなかった。昨年12月の二審福岡高裁那覇支部判決も一審判決の結論を支持した。

 国交相裁決の違法性が認められて取り消されれば、県による承認撤回の効力が復活し、沖縄防衛局は埋め立て工事を継続できなくなる。承認撤回を巡っては、辺野古周辺の住民らも同様の抗告訴訟を提起しており、執行停止に関する決定で一部の原告適格が認められた。今年4月の一審那覇地裁判決は一転して住民の訴えを却下し、住民側が控訴している。