劣悪な環境で猫38匹を飼育、動物愛護法違反容疑で女を逮捕 沖縄・南大東、「多頭飼育崩壊」の状態か 


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
猫が多頭飼育されている家屋=30日、南大東村

 那覇署と沖縄県警生活保安課は30日、沖縄県内離島の家屋で、ふん尿や害虫を放置し衛生状態が劣悪な環境下で猫38匹を飼育したなどとして、動物愛護法違反容疑で住居不定、職業不詳の50代の女を逮捕した。「悪い環境だと思うが、私の感覚では虐待ではない」と容疑を否認している。関係者によると、家屋は南大東村にあり、飼育過多で適切な管理ができない「多頭飼育崩壊」の状態とみられる。県内では2004年以降、同容疑での摘発は12件、逮捕は初。

 30日午後、県自然保護課と南大東村の職員、獣医ら立ち会いの下、防護服に身を包んだ県警の捜査員が猫が飼育される家屋に家宅捜索に入った。周辺は島内の住宅が集まる地域で鼻を刺す刺激臭が漂う中、マスクやゴーグルを装着した捜査員らが猫を次々と運び出し異様な光景となった。

 関係者によると、女は島内で野良猫の保護活動をしており、交流サイト(SNS)などで全国から活動資金の援助や猫のえさ、ペット用品の提供を呼び掛けていた。飼育する建物は元倉庫で、床は猫のふん尿や猫の毛などが数センチの高さに堆積し、数カ月前には猫の死骸が多数放置されていた。電気や水道などの設備はなく、飼育環境は崩壊した状態。衰弱や病気がうかがえる猫もおり、虐待とみなされてもおかしくはないという。

 同村は9月、「南大東村飼い猫の適正な飼養および管理に関する条例」に基づき、猫を飼育する家屋に立ち入り調査を実施。飼育環境の改善を勧告したが、その後も是正されなかったという。
 

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