「殺処分から猫を助けたかった」多頭飼育崩壊に至った理由 家屋からは雨のようにゴキブリ、猫の死骸も…沖縄・南大東島


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家屋に残っていた猫をゲージに入れ保護する村職員=1日、南大東村在所

 【南大東】南大東村在所で劣悪な環境の家屋で猫を飼育したとして11月30日、動物愛護法違反容疑で50代の女が逮捕された事件で、村は12月1日も家屋に残された猫の保護を続け、22匹を運び出した。今後、県動物愛護管理センターに移送し譲渡先を探す。一方、容疑者は逮捕前、本紙の取材に対し、虐待との指摘があることを否定し「殺処分から猫を助けたい」と語っていた。

【事件の一報】劣悪な環境で猫38匹を飼育、動物愛護法違反容疑で女を逮捕

 防護服に身を包んだ村職員らは1日、家屋内に数万匹いるとみられているゴキブリを駆除するため、猫に害のない薬剤を屋内で散布した。関係者によると、天井からは「雨のように」大量のゴキブリが落ちてきたという。死後1年以上経過したとみられる、白骨化した猫の死骸も2体見つかった。現場の惨状に関係者は「明らかに虐待だ」と語気を強めた。家屋内には依然、20匹ほどがおり、村は今後全ての猫を保護するまで作業する。

【動画】劣悪な環境で猫38匹飼育、多頭飼育崩壊の現場

猫が多頭飼育され、ふん尿で汚れた室内=1日、南大東村在所(村提供)

 容疑者は約15年前、沖縄本島から島へ渡った。飼い猫に加え、野良猫を家屋に連れ込むようになり、徐々に多頭飼育の状態に。逮捕前の取材で「人間不信になりきつい時期があったが、猫に助けられた。今の私があるのは猫のおかげ。今度は私が助けなきゃと思った」と話していた。

 猫への強い思いの一方、家屋の環境がふん尿の堆積などで悪化していることについては、「今年1月に左股関節を骨折し、重い物を持てなくなった」ことが原因のひとつとしていた。

 県警は11月30日、動物愛護法違反容疑による逮捕は県内初と発表していたが、2014年7月に同容疑での逮捕事例があったと訂正した。今回の逮捕は県内2度目。(照屋大哲)


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