沖縄戦の激戦地の土砂、業者が採掘を県に再申請 受理されれば30日経過後に採掘可能に


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糸満市米須の鉱山=2021年7月(小型無人機で撮影)

 沖縄戦戦没者の遺骨が混じる可能性がある糸満市米須の鉱山から土砂を採掘する計画を巡って、開発業者の沖縄土石工業(永山盛也代表)は1日、糸満市を経由して県に再届け出を提出した。県は書類を精査する。受け付けられれば、自然公園法に基づき30日が経過した後、業者は採掘に着手できる。本紙の取材に対して、永山代表は「(着工時期など)詳しくはお答えできない」と述べた。

 鉱山は沖縄戦跡国定公園内にある。県は2021年5月、自然公園法を根拠に、業者に対して採掘前に遺骨の有無を確認し、収骨に支障が生じない措置を取ることなどを求める措置命令を出した。

 業者は同年8月、措置命令を違法として総務省の公害等調整委員会(公調委)に不服を申し立てた。

 公調委は22年6月、遺骨が発見された場合は工事を2週間中止して収骨することなどを業者に求める合意案を提示。県と業者はこれを受け入れ、公調委の下で再届け出を作成していた。

 採掘土砂が辺野古新基地埋め立てに使われるとして、沖縄戦戦没者遺骨収集ボランティア・ガマフヤーなどが計画に反対している。再届け出提出について、ガマフヤーの具志堅隆松代表は「県は一番の当事者である遺族の声を一度も聞いていない。玉城デニー知事は戦没者、遺族の立場に立ち、最初から仕切り直してほしい」と訴えた。その上で「県も業者も同じウチナーンチュ。戦没者、遺族が顧みられていない現状は沖縄の未来に禍根を残す」と述べた。
 (安里周悟)