「沖縄の子の被害は東京の子の安全のためなのか」 学校上空の飛行禁止求め続ける保護者の決意<危険な空、今も・普天間第二小ヘリ窓落下5年>下


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子どもたちが笑って過ごせる安全な環境を願い活動を続ける「#コドソラ」の与那城千恵美さん(左)と宮城智子さん

 8日、国会内の一室。防衛省や内閣府など国の7機関の職員らが集まっていた。対峙(たいじ)したのは、米軍機の部品事故が発生した当時の緑ヶ丘保育園の保護者で、現在普天間第二小の保護者ら。両事故から5年を経た今も、子どもたちの頭上を米軍機が飛ぶ状況を訴え、学校上空の飛行禁止を求める保護者らに対し、国側の職員の一人は人ごとのように言い放った。「空にレールがあるわけではないので」

 同様の要請は今回で4度目。子どもたちの安全な環境を願い、要請に臨んだ保護者たちに突き付けられたのは、心ない言葉の連続だった。「どうやったら伝わって、国は動くのか」。要請に参加した事故当時の保護者、与那城千恵美さん(49)と宮城智子さん(53)は悔しさをにじませる。

 事故後、園の父母会などは「チーム緑ヶ丘1207」を発足し、園上空の飛行禁止を訴えてきた。2022年3月に事故当時の園児は全員卒園を迎えた。事故を経験した園児の中には、同じく米軍機の部品落下事故が起きた普天間第二小に進学した子もいる。

 1月には緑ヶ丘保育園、普天間第二小、普天間小の保護者らで新団体「#コドソラ」を立ち上げた。「空の状況が変わっていないから」と同団体の代表を務め、要請を続ける与那城さん。国への要請では怒り、むなしさ、悲しさとたくさんの感情がこみ上げてくる。

 内閣府の職員からは安全保障の観点から「米軍によって守られているのでバランスを取らないといけない」との発言もあったという。「沖縄の子の被害は東京の子の安全のためなのか」と怒りで震えた。

 今回の要請ではこれまでの安全保障に関連する省庁に加え、新たに文部科学省と厚生労働省の担当者も同席してもらった。しかし文科省の職員から返ってきたのは「事故のことを知らない」「設置者の責任で安全管理していく」との言葉だった。園の事故当時に父母会会長を務め、チーム緑ヶ丘の会長も務めていた宮城さんは国の対応について「寄り添うということはなく、慣れきった返事で、仕事として対応していると感じる」と語る。

 ただ「今踏ん張らないと変わらない」と、活動への決意は揺らがない。今週には全国の1788自治体などへ、子どもたちの安全な環境を保障するよう政府に求めてもらいたいとする陳情書を発送する。「共に声を上げていただきたい」との言葉が連なる。「今度こそ国は動いてくれるだろうか」。全国へも思いを託す。

(新垣若菜)