琉球の心を伝えたい ペルーの県系4世 与那原町で2カ月間の研修、成果を披露


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山川まゆみさん(左)と一緒に「安里屋ユンタ」を披露するウェンディ・メグミ・新垣・大槻さん(中央)とファン・アンドレ・光男・ラミレス・照屋さん=14日、与那原町上の森かなちホール

 【与那原】2022年度与那原町海外友好親善大使人材育成事業で10月から町内に滞在している、ペルー出身の県系4世、ウェンディ・メグミ・新垣・大槻さん(27)とファン・アンドレ・光男・ラミレス・照屋さん(25)の研修修了式と成果報告会が14日、与那原町の上の森かなちホールで開催された。2人は約2カ月半町内に滞在。各分野の講師から日本語取得に向けての勉強や書道、焼き物、琉球芸能、琉球料理などを学んだ。同日は舞台で舞踊や三線、太鼓、書道などを実演し、成果を披露した。同事業は今回で12回目となる。

 研修で講師を務めたのは儀間淑子さん(日本語)、諸見里史子さん(書道)、山川まゆみさん(歌三線)、宮城勝人さん(陶芸)、比嘉千秋さん(琉球舞踊)、國吉ガブリエラさん(沖縄料理)。報告会では、幕開けに南風原高校郷土文化コースの生徒による地謡で「かぎやで風」を舞い、歌三線では指導した山川さんと一緒にはっきりとした声で「安里屋ユンタ」「島唄」を歌った。サプライズでは太鼓も演奏した。2人の奏でる歌三線と太鼓に町民は手拍子を送った。会場では2人の手作りのちんすこうなどもふるまわれ、制作したシーサーや器なども展示された。

記念撮影する新垣さん(前列右から5人目)、照屋さん(同6人目)

 新垣さんは母方の曽祖父母が町出身。「曽祖父母の古里である与那原、沖縄の文化に触れてみたい」と研修に参加した。また、沖縄戦で亡くなった親族に「手を合わせたい」と、町在住の親族、上原憲和さん(58)と慰霊塔などを巡った。新垣さんは「町民の皆さんから激励を受けながら伝統文化にたくさん触れることができた。ペルーに帰国したら、自分が体験したことを伝えたい」と笑顔で語った。

 曽祖父が町出身の照屋さんも「沖縄へ行って、沖縄戦について一度も話さなかった曽祖父の気持ちが知りたかった」という。照屋さんは「町民の皆さんと交流するうちに、曽祖父の気持ちが分かった。指導してくれた先生方や役場の皆さん、町民の皆さんが温かく迎え入れてくれた。ペルーに帰ったら平和な与那原、沖縄の姿を伝えたい」と前を見詰めた。

 2人は23日、ペルーに帰国する。
 (金城実倫)