監視パトロールやカメラで密猟対策…その課題と対策の鍵は? やんばるの森の希少種


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やんばるの森(資料写真)

 沖縄県環境部、環境省沖縄奄美自然環境事務所などは沖縄島北部で警察、地元住民と連携してパトロールを実施するなど密猟対策を実施してきた。しかし「広大なやんばるの森林域、網の目に走る林道で密猟現場に出くわすのは難しい」(県自然保護課)のが現状。これまで密猟現場での摘発はなく、密輸出対策が鍵となっている。

 県自然保護課は国頭村森林組合と連携して年180~200回、1組2人で延べ360~400人を動員してパトロールを実施している。また、国指定天然記念物「ヤンバルテナガコガネ」や国内希少野生動植物種「オキナワマルバネクワガタ」といった甲虫類の密猟防止のために9~10月、県警と合同のパトロールも実施している。

 ただ、通年パトロールに「捜査権はなく、不審人物の指導や不審車両の記録、昆虫採集のためのわなの撤去などに止まっている」(県自然保護課)状況だ。担当者は現在取り組んでいる監視パトロールや監視カメラ設置を継続し「密猟しにくい環境をつくっていくしかない」とした。

 環境省がまとめる沖縄・奄美の世界自然遺産登録地での密猟対策に関する資料によると、18年度7件、19年度6件、20年度7件、21年度3件の密猟・密輸出とその疑いがある事件・事案が発生している。だが、これらは「氷山の一角である可能性がある」と指摘。空港や港湾、税関での検査といった水際対策の強化に努めている。

(安里周悟)