PFAS事故に通報義務 環境省 米軍に対し一定根拠


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 人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)の一種、PFOSとPFOAについて、政府は20日、公共用水域に排出された場合に健康と環境に被害を生じる恐れがある「指定物質」とする水質汚濁防止法施行令改正を閣議決定した。流出事故があった場合、事業者などに都道府県知事への通報や応急措置が義務付けられる。施行は2023年2月1日。 

 PFASは在沖米軍基地周辺の河川や地下水から高い値で検出されている。流出事故時、米軍基地で発生した場合は日米地位協定の「環境補足協定」に通報の枠組みがあるが、国内法での通報義務規定はなかった。

 環境省水・大気環境局は「日米地位協定第16条に基づき、米軍は日本の法令を尊重する義務がある。施行令改正によって日米間の協定を国内法で担保することになり、流出事故時の通報義務がより明確になった」と説明。併せて、施行令に流出量・濃度の規定がないことから「流出事故の大小にかかわらず通報する義務があることになる」と指摘した。

 ただ、通報については米軍の運用に左右される部分があることを認め「実効性をより高めていくために日米間の協議・連携を深めていきたい」とした。

 県環境部環境保全課は、米軍から通報がない事故を報道で知ることがあるとした上で「県は米国の情報公開制度を使って開示を求めているが、これまで開示された例はない」と説明。「米軍が通報すべき事故がより明確になり、情報共有が進むのでは」と期待した。

 PFOSとPFOAは水や油をはじく性質から、泡消火剤や金属加工などに広く使用されていた。分解されずに環境中に残留し、生物の体内に蓄積することから、有害化学物質を規制するストックホルム条約で製造や輸入、使用が禁止されている。 (安里周悟)