忘年会シーズンだけど…飲食店に厳しい年末 コロナで団体キャンセル、物価高騰で仕入れ値増 沖縄


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二次会を楽しむ客ら。店主によると以前に比べ「客が引くのが早い」という=8日、那覇市久茂地のバー「ラフス」

 忘年会シーズンを迎え、街は活気づいているように見えるが、飲食店を取り巻く状況は決して明るいとはいえない。新型コロナウイルスの感染者数は昨年の同じ時期と比べ減ってはいるものの、客足への影響はいまだに大きい。団体客の予約はコロナ前の半分以下という店舗も。今年は物価高騰により仕入れ値が増大、光熱費も上がり、コスト削減に頭を悩ませる経営者も多い。

 那覇市松山のもつ鍋店「じろう桜」の店主島津蓮さんによると、新規陽性者が増加傾向となった影響で、団体予約のキャンセルが増えている。その一方で予約が直前になることも多く「仕込みが間に合わずに慌てることもしばしば」と話す。コロナ前の年末は1カ月以上前から予約で席が埋まっていたという。

 さらに肉や野菜、油といった食材の仕入れ値高騰も悩みの種だ。食材によっては昨年と比べて倍近い価格になっており、利益を確保するのが困難な状況だ。

 アルバイトの働く時間を減らし、客が少ない日は早めに店じまいするなど人件費や電気代を抑える工夫をしているが、限界に近いと話す。「仲間同士で鍋をつつき酒を酌み交わして楽しい時間を過ごす日々が早く戻ってほしい」と憂うつそうな表情で話す。

 二次会に利用されることの多いショットバーでも客足が鈍っている。那覇市おもろまちのバージュニアズバーテンダーのオーナー平良純也さんは「コロナ以前は宴会の後に足を運んでくれる客も多く、遅い時間帯ににぎわっていたが、今は客が引くのが早い。いつまで続くのか…」とため息をついた。

 一方で、全国旅行支援や渡航制限緩和の影響で県外、海外からの観光客は増加傾向にある。那覇市牧志で沖縄料理を中心とした居酒屋「じまんや」を営む横井聖司さんは「国際通り周辺の沖縄料理店にはコロナ禍で閉店した店も多く、そのためか観光客の来店人数と単価は昨年より大幅に増えている。しかし、地元の客はかなり少ない」と話した。
 (普天間伊織)

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