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沖縄の「長寿」ブランド崩壊か…若年者ほど寿命短く 所得との関係も注視 平均寿命ワースト転落の恐れ


この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也
那覇の街並み(資料写真)

 沖縄観光の呼び水ともなっていた「長寿」ブランドが崩れ、「短命県」に転じる恐れが出始めた。2020年都道府県別生命表で発表された平均寿命では、男性は80・73歳の43位、女性は87・88歳の16位。1985年の男女1位から、順位を落とすごとに「○○ショック」と表され、県が健康長寿の施策にてこ入れしてきたが男性はついに全国ワーストに陥る恐れも出始めた。県は2040年までに男女とも平均寿命日本一を目指す計画を立てているが、健康寿命の低下に歯止めがかかるか、感触はまだつかめていない。

 ▼もう一つの全国ワースト…有所見率と沖縄経済の関係

 厚労省の2020年都道府県生命表で県内の男女とも平均寿命の順位が低下した結果を受け、23日に記者会見を開いた糸数公保健医療部長は「結果として対策の効果が出ていないことを厳しく受け止め、対策の検証や新たな施策の必要性を強く感じている」と危機感をあらわにした。

 前回の結果以後、県は健診の受診率の向上や肥満対策、肝臓負荷を下げるアルコール対策の3点に注力してきたが、今回の死因別死亡確率では飲酒の影響が出やすい肝疾患が男女1位で、糖尿病や高血圧性疾患など、生活習慣病による疾患も上位に位置する。

 さらに、平均寿命の順位低下とは別に0、20、40、65、75歳で分けられた「主な年齢の平均余命」では、若年者ほど寿命が短い現状だ。男性では75歳は余命12・93歳で87・93歳まで生きるとされているが、40歳は余命41・71を足すと81・71歳。若い世代ほど低く0歳では80・73歳となる。

 高齢化社会を支える若年・中年層ほど健康寿命にリスクを抱える状況だが、糸数部長は「改善されなければ男女ともさらに順位が下がる」と語った。

 県は早期の対応として、長寿を目指す行動計画「健康おきなわ21」の見直しを急ぐ。また、企業などが従業員の健康促進に取り組む「うちなー健康経営宣言」の普及で、若年・中年層などの働き盛りの男性を中心とした健康管理の意識付けに取り組むという。糸数部長は「所得が低いほど健康的行動が取れない国のデータもあるのでそこも取り組まないといけない」と語った。

(嘉陽拓也)


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